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つんつん

題名だけで何のことか見当のつく人は、この地の人を除けば、殆どいないと思う。この辺りの人でも釣りに興味がなければ、その内容まで知ることはあるまい。

これまで川釣りを面白いと思ったことはなかった。友人に誘われて、二三度渓流に竿を出したことがあっても、私が釣ったものと云えば川中の岩と周りの木の枝だけだった。

相当な技術の要ることが分かったので、時間を割けないと思い、その後は全く手を出していない。だからと言って川釣りが面白くないとは思わない。

近頃吉田川に沿った道を散歩する。島谷用水の始まる所あたりで同年配の連中がたむろしている。中には心安く話ができる人もいるし、ここのところ顔見知りになってきた人もいる。彼らは子供の時から吉田川に関わってきた人が多いらしい。

つんつんと言うのは伝統漁法で、主に鮎をかけるものである。糸の先に錘をつけ、その上に二対ないし三対の針をつけて鮎を引っ掛ける。

これと似た「ずず」というのもあるらしい。この場合は、糸の先に何対かの針をつけた上に錘をつける。これは全期間禁止されている。

自分でやったことがあるのかないのか記憶が確かでないが、海辺でも回遊するボラを引っ掛ける漁法があったと思う。

つんつんと「ずず」の違いがよく分からなかったので、たむろしている連中に聴いてみると、「そんなことも知らんのか」というような口ぶりで教えてくれる。

鮎に限らず川魚は上る際に、流れに逆らって真っすぐ泳ぐらしい。従って、錘が上につけてあると針が流れに対して横に開くことになるので効率がよい。ただし、この漁法は他の人に影響を与えることが多いし、危険だということで禁止されてきた経緯がある。

これに対しつんつんは、錘が先についているので針が流れの方向と同じになる傾向がある。魚の泳ぐ向きと同じなので割合安全だが、引っ掛けるのが難しい。

それで色々技術が集積されている。錘を落とす場所は流れの深さと速さに関連するので一様ではないし、針の数や、流れと交差するように引くなどセオリーがあるらしい。

今年は新型コロナで釣り人が少なかったからか、大水のタイミングがやや違っていたのか、まだ鮎が結構残っていると云う。例年ならつんつんのシーズンが終わっている頃なのに、今年は十一月の下旬までやれている。

昨日、つんつんをやっている人が詰まっている枯れ葉を集めて用水の入り口に流している。泳ぎにくいのかどうか、鮎が避難場所になっているトンネル部分から出てきた。引っ掛けようとするが、鮎が縦一列になってまた上っていく。

ここまでくると最早、つんつん一つとっても人と鮎の織り成す文化の香りがする。                                               髭じいさん

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