芝居に出る

 La compagnie ”A-n”という劇団のお芝居が20日から3日間行われました。僕も奥さんもこれに出演したので家のコドモにはじいじとばあばのおうちで過ごしてもらうことにしました。まえから一人でお泊まりしたい、という希望を表明していたのでこれを機に実現せてみようということだったのです。しかし、身構えてしまったのは実は僕の方だったようです。駅に見送りに行ったときコドモの方はニコニコしながら出掛けていったのに、僕はと言えば胸が詰まるような思いがして笑顔を持続させるのが難しかったほどです。思えば僕は「日本で一番家にいるお父さん」のひとりでコドモと長い時間離ればなれになることに全く慣れていません。子供が親に依存する以上に僕の方が子供に依存していたのかも知れません。なにか人生の厳しさを感じさせるしばしのお別れでした。次の日、電話で話すとコドモはずいぶん楽しくやっているようで自分の言いたいことだけ話すと「じゃ、そういうことで。」などと言ってそそくさと切ってしまうのでした。
 さて、お芝居の方ですが、この公演は四年前、フランスのアヴィニョンで誕生したモノに三年前から僕の音楽が加わり、さらに出演などもするようになり、姿を変えながら成長し続けてます。台詞のないマイム、手話、踊りを融合させたジェストダンスというものに奄美の蛇皮線、僕のギター、小峰公子の歌、などの生演奏がまざりあう不思議な作品です。芝居、演奏、ダンス、歌、が四方からぶつかり合っていやおうなしにタマシイを揺さぶってしまうなんだか全く新しいジャンルのアートである、と僕は理解しています。同じ作品をもう三年にわたって続けているにもかかわらず、停滞を少しも感じさせずに進化しているのは素晴らしいことだと思っています。僕たちミュージジャンは同じコトを続けることがとても苦手なのですが、この劇団には不思議な吸引力があって気が付くと一緒にいてしまう、ということになっています。三日間での四公演を何とかやり遂げて、La compagnie ”A-n”の一年は終わったようです。
 残念ながらLa compagnie ”A-n”の公演は今のところ海外と東京でしか行われていません。次の予定は来年のフランス、だそうです。作品が評価され経済的にゆとりが出来たらいろんな場所で観てもらうことが可能になるのかも知れません。あるいはそういうつもりは全くないのかも知れません。良くは判らないけれどこの不思議な劇団に僕はもうしばらくつき合ってみようと思っています。  
 興味を持たれた方はこちらにホームページがあります。是非ご覧下さい http://www.pink.ne.jp/~a-n/

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