今時の青年

白石康(鉱)次郎(敬称略)をご存知でしょうか。
1994年26歳で単独無寄港世界1周(当時世界最年少記録)達成。
1998年ブルーノ・ペイロン艇長「エクスプローラ号」の乗組員として参加、14日17時間で、太平洋横断世界新記録樹立。
その後2003年にはAround Alone(単独世界1周)ヨットレースに出場。
クラス2位(40フィートでは最速)。現在37歳。
と書くと、まさに順風満帆の人生のようであるが、並外れた偉業の裏には、並外れた努力や苦労があるように、彼も例外ではなかった。6歳で母を失い、20歳で神奈川県三崎水産高校専攻科(機関)卒業後、在学中に「ヨットで世界一周したい」と決意した彼は、故多田雄幸氏に押しかけ弟子入りした。
多田氏は第1回単独世界一周ヨットレースで優勝した人である。多田氏はさらに異能の人で、船の名前が「オケラ号」と言うだけあって、金銭に無頓着で白石少年は師の命じるままに造船所などで住み込み無給の奉公を続ける事になる。しかし師の交友はさすがに幅広く、ひたむきに努力する白石少年の姿はそうした人達から愛され認められていく。
こうした顛末は、4年前に出版された「七つの海を越えて」(文芸春秋出版、白石康次郎著)に詳しく書かれている。是非一読してほしい。
世間の知識人や評論家たちが現代の青年たちについて新聞や雑誌などに論評する内容とはまるで違う姿がここにある。白石康次郎だけが特別とは言えない。彼に劣らず今時の青年も捨てたものではないと思うのである。

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