温泉行の企画

まだ昼間は暑いのに、仲間内でぼつぼつ温泉へ行く話が出ている。ちょっと早いのではと思われる方があるかも知れない。

葬式頼母子というのをご存知でしょうか。田舎の葬式はなかなか大変で、かつては隣近所のみならず喪主やらの友人が手伝うことが当たり前だった。近頃は殆んど全てを葬儀屋にまかすけれども、かつては班と友人連が通夜から葬式全般を取り仕切っていた。縛りのきつい時には、該当する班で一家に二人出なければならない所もあった。友人連中は現役世代であることが多く、仕事を休むことになる。経済的な負担もかなりあった。

というので互助会の役割をもつ頼母氏講が作られた。この繋がりは深く、多くは一生続く。普段、月一の積み立てと飲み会をやっていた。流れ者の私も仲間に入れてもらえ、大いに有難かった。

ここ二十年ぐらいだろうか斎場が整備され、葬式もすっかり簡素化された。近頃では班の手伝いも殆んどなく、友人関連にしても会計や駐車場の整理ぐらいである。

かくして葬式頼母子はその役割を殆んど終え、段々縛りのない集まりになってきた。安く飲めるところがなくなってきたし、殆んど父母の世代がみまかったので解散状態になっている所が多いのではあるまいか。

私の入っていた頼母子も一旦解消ということになったが、年一回数人で温泉へ行くというのが恒例になった。又何人かがこれに加わり中々の所帯になっている。こうなると日程を合わせるのも、目的地を選ぶのも簡単にいかない。

まだ現役で仕事をやっている人に合わせるのが基本で、近頃では雪で道路が凍結するのを恐れて十二月は避ける。予約のこともあり、九月ともなればぼつぼつあちこちで温泉の話が出てくる。

十年ほど定宿にしていた馬瀬のホテルから、数年前に下呂へ変えたあたりから行先も話題にあがるようになり、いくつか候補地が出るようになった。今回はどうゆう訳か板取の温泉やら、白山市の話も出てきた。

私に合わせて日程を組んでもらっているので、どこでもよい気がしている。

この歳になっても、友人連と気軽な旅ができるのは有難いことではないか。ワクワクするようなことはないが、何かしら心が浮き立つ気がする。こんな近場の旅だとしても、そろって行けるのはもう何回もあるまい。

旅が楽しいことは当たり前だが、旅の計画やら準備が楽しいのは年をとっても同じようで、話の弾むことがある。修学旅行前の沸き立つような高揚とまではいかないとしても、憂き世もまた悪くないという気分にはなる。                                            髭じいさん

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