海ってすげえ!
NHKは数年に一度くらいの割合ですごい映像を見せてくれる。かつて「宇宙」「人体」等のスペシャル番組で度肝を抜かれるような見たことのない景色を目の当たりにした。そして今度また、製作はBBCだけど「海」特集でやってくれた。月曜日の朝二日酔いのアタマでぼんやりとテレビを見ていると、くじらの親子がシャチに追われていた。追いつかれてやべぇ、などと思っていると容赦のない攻撃が始まり、ついに子くじらは殺されてしまった。あれよのあいだのショックな出来事だった。映像は深海の海底に替わり、死んだくじらの死体を捉える。そこには無数のぬらぬらした気味の悪いモノがはい回っている。ヌタウナギというイキモノだそうだ。僕はこういう訳の分からないイキモノが大好きなのでもうすっかり嬉しくなって酔いも醒めまくっていた。その後も子供の頃に図鑑の絵で見て憧れたチョウチンアンコウやらサッコファリンクスなんかの生きて動いている映像を次々と見せられて今週はおいら「海」で興奮しっぱなしである。深海の湖、太陽を必要としない生物、になるともう詩の世界だ。億年の単位を生き延びてきた数々の不思議なイキモノ達は大したモノだが、こういう映像を撮ってくる人間も、本当にすごいと思う。今僕がこうしてぬくぬくとした部屋でお茶なぞ飲んでいるこの瞬間にも海の底ではヌタウナギが這い回り、鰯の群はいろんな敵に食い散らされ、白熊は北極の氷の上を獲物を求めてうろつきまわっているのだ、ということがひしひしと感じられ、それを教えてくれたことに感謝の念さえおぼえるのだ。