夏来たかも!

 La conpagnie A-nのお芝居、「犬の恋」がめでたく千秋楽を迎えました。時間との勝負で開演にこぎ着けたような所もあるようなので荒削りで、まだまだ手直しすべき所はたくさんあるのでしょうが、それよりも圧倒的にオリジナルで、胸が締め付けられるような切なさを抱えたこの作品は僕には相当に衝撃でありました。「祈りの後に」の時も感じた人間の哀しみや愚かしさが奇妙で得体の知れない美しさでもって表現されると、治ったばかりの僕の肺には、また穴が空いてしまいそうでヤバイのであります。
 僕は既にある数曲を提供しただけだったので稽古に係わることはほとんどありませんでしたが、それでも打ち上げにはしっかり顔を出して、しこたま美味酒をいただきました。今回の芝居は毎日若手映画監督の作品とともに上演されたのでそちら方面の新しい人達と烽スくさん知り合いました。下北沢を舞台に妖しく蠢きながら才能のカケラを紡ぐ、まるで蓑虫のような若者達の有様に新鮮な情熱を感じて、ぼくも新たな地平に連れて行かれるようでしたが、きびしい宿日酔いの中で道に迷ってしまいました。
 とにもかくにも初夏のたいへんなイヴェントがひとつ終わりました。そろそろ僕の番です。今日は乾いた熱い風が吹いてきました。もう夏です。始めることに致しましょう。

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