区切り
何かにつけ、区切りをつけて生きていくのは気持ちがよい。学校の卒業や入学などもそうだし、入社や退職も今までとは異なる環境に入っていくわけだから、りっぱな区切りである。
私は、どちらかと言うと半端な人生で、だらだら生きてきたように思う。卒業式も行かないことが多かったし、入学式もできるだけ避けてきた。職業も幾つか経ているが、しっかりした式などというものは経験がない。だが、なぜか葬式だけは避けられなくて、随分あちこちで様々な立場で出席した。
年齢を重ねていくと、余命が気になるものらしく、自分がこの世で出来る事と出来ない事が大よそ分かってくる。これほど長く生きていながら、目立つ働きも出来ず、自分で納得できる成果も得られないのに気づき悄然とする。まあ、どちらにしろ大したことではないがね。あはは。
というわけで、私が継続してやってきたことの一部に区切りをつけたいと思ったのである。スタートしてまだ二三歩進んだだけなのに、何となく人並みにやってみたくなったのである。
私は、ライフワークとして、古代の音韻を勉強している。今のところ清代の考証学に時間を食っているが、できれば、古音の復元をしたいと考えている。その基本となる辞書のテキストがほぼ入力できたので、試しに公開してみようという訳だ。手直ししなければならないところも多いし、ややこしいフォントの著作権も解決しなければならない。難関は承知していても、後にはひけない気分でいる。
ひょっとして、いずれネット上でお会いできるかも知れない。辞書の名前は段注の『説文解字』である。