雨漏り

都会のマンションや新築の家では、雨漏りすることは殆どないだろう。
ところが、私の住んでいる借家は明治の始めに建てられた古いもので、ひどく雨が降ると雨漏りがする。漏るところも何箇所かあった。色々原因を考えて対策を練り、手当てをすることによって、やっと残り一箇所になった。ここも原因は分かっているが、費用のことやら、隣との話やらで骨が折れそうなので、人が見たら笑うような覆いをしただけである。風が吹いたら飛ばされないか、大雨が降れば横からはみ出さないかなど心配の種は尽きない。
私の住む地域はこれだけでは済まない。雪がまた厄介なのである。積もるだけならよいが、気温が上がると溶け出すのだ。
郡上では、瓦の屋根も段々増えてきたようだが、まだトタン板で葺いている家が多い。雪が重いから、屋根を軽くするためである。それでも、降り積もると、その重みで障子が開けにくくなったりする。
トタンはどうしても錆びる。だから、数年に一度の割で「チャン」と呼ばれる錆び止めを塗る。塗料の濃度を加減して丁寧に塗ると、簡単な雨漏りはしなくなる。
従って、どの家でも専属の職人と付き合いがあり、屋根の様子を見てもらっている。
私の場合は、前の職人さんが年を取り廃業してしまったので、まだ決まった人に頼む状況になく、近所で情報収集中である。
家を守り、平穏に暮らすには、隣近所との情報交換のみならず、助け合いが必要な所以だ。妻には気の毒だが、雨漏りと付き合っていくのもさほど悪くはない。

前の記事

区切り

次の記事

蛙の子は蛙の子