東日本大震災

まずはこの定義でよいのかどうか。もう少し限定して東北関東大震災と伝えられる場合があるし、震源地を重視して東北関東沖大地震なども考えられる。いずれにしても、ある程度時間がたち全体像が見えてこないうちは、仮の用語と考える他ない。
私は、このコラムで、時事を扱うことは稀である。熱がさめて輪郭が見えてこない内はどうしても推測と断定が多くなり、私の力量では実態とかけ離れたことになってしまいがちになるからだ。が、なぜか書かざるを得ない気分になってしまった。
数回修正された後、地震の規模を表すマグニチュードは9、0に落ち着いてきたようだ。私の理解では、太平洋プレートの沈み込みに耐えられず北米プレートの境界面がほぼ南北数百キロメートルにわたり破壊されたために起きた地震である。
巨大なエネルギーにより、広い範囲で最大震度を記録したばかりでなく、長周期の横波によってかなりの建造物が破壊された。中でも、重油やガスのタンクが数多く倒され炎上したことが印象に残る。
これに関連するのかどうか不明だが、十一日に長野で、十五日に静岡で強い地震が発生している。北米プレートの西部及び南部の境界附近で地震が起きているようにも考えられる。あれほどの巨大地震であるから、列島附近で細長くなっている北米プレートの一部が影響を受けている可能性はないだろうか。
北米プレートの跳ね上がりによって海水が持ち上がり、巨大な津波が発生した。この震災は、巨大な地震の規模のみならず、津波による被害の大きさでも後世長く伝えられるのではないか。特に岩手、宮城及び福島各県を中心とする海岸線は、津波によって甚大な被害を受けた。発生して数日たった後でも、連絡がつかない自治体が幾つかあったほどである。
更に、東京電力の福島原発で燃料棒が融解し、放射性物質を大量に放出した。今でも、現に連日相当量を放出している。まず、あらゆる方法を駆使して冷却し、押さえ込まなければならない。人災と言ってよい。これに到った原因や対策方法について詳しく検証するのは後の話である。どういう経過を辿ろうと、この点も長く歴史に刻まれることは間違いあるまい。
阪神淡路大震災の時には、極限の状況にありながら、掠奪や暴動が起きなかった。この震災においても、今までのところ、目だった不法行為は伝えられていない。これらは、日本が法治の根付いた近代国家であることを示している。
何としても放射性物質を押さえ込んでもらいたい。悲しみは消えないとしても、必ず復興を軌道にのせる。日本は決して小さな国ではない。

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