間違いやすい字
誰でもと言うよりは、私が間違いやすい字という意味である。ちゃんと区別していない字は、いつまでもぼんやりして、いざという時に使い分けができない。私の時代で英語は中学に入ってから勉強することになっていた。特に習い始めには様々な混乱があり、中でも<d><b>の区別が難しかった。結構後まで<Sunday>が<Sunbay>になっていた。また恥ずかしながら中学に入っても「右」「左」の区別が怪しく、歩き出しの足を間違えたものだし、「右手を挙げて、左手を挙げない」というような遊びが苦手だった。
これら二択で誤ったきたことが、心のどこか深いところで傷跡として残っているような気がする。このような例は数えきれないほどあることは分かっている。
前に字形が似ている「巳」「已」「己」について書いたことがある。これらについては江戸時代の寺子屋でも繰り返し教えられていたようだが、「戌」「戍」「戊」「戉」については知らない。
なぜよく間違えるのか、原因ははっきりしている。それぞれ文字をしっかり理解していないからである。これまで何度も機会があったのに、身に染みるほどは取り組まなかった。いくらかは知識として残っていても、使いこなせるに至らなかったわけだ。
もうこの歳になると、しっかり分からないまま棺桶に入るか、少しは納得して使えるようにするかどちらかである。
この場を借りて、おさらいをしてみたい。しっかり理解している人も復習の意味があるかもしれない。列挙してみると、
1 「戌」は「いぬ」、音は「ジュツ」「シュチ」
2 「戍」は「まもる」「まもり」、「ジュ」「シュ」
3 「戊」は「つちのえ」、 「ボ」「ボウ」
4 「戉」は「まさかり」、 「エツ」「オチ」などとなる。
1の「戌」は十二支の十一番目で、「戌年(いぬどし)」「戊戌 つちのえいぬ ボジュツ」等と干支に使われることが多い。「戌亥 いぬい ジュツガイ」は方角を表す。会意又は形声字。同じ「いぬ」でも、「犬」「狗」に変えることができない。
2の「戍」は「人」が「戈 カ」を持つ会意なので「守る」となり、「戍兵 ジュヘイ シュヘイ」等となる。
3の「戊」は、十干「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」の五番目である。象形字。やはり干支に使われ、「戊辰 つちのえたつ ボシン」などとなる。
4の「戉」はそのままではあまり目にしないが、「越」の声符として使われている。形声字。因みに親戚の「戚」は多くのフォントで「戊」に従っているが、『説文』ではこの「戉」部に属している。区別だけなら、これらだけでも役立つかもしれない。