シマウマの模様

ある中学生が、「シマウマの模様が納得できない」と言い始めた。何のことかよく分からないので確かめてみると、白黒のシマは目立つのでライオンなど天敵に見つかり易いのではないかというような主旨だった。
なるほど、そういうことか。質問の意図は分かったが、言葉に詰まってしまう。今まで正面に据えて考えたことのないテーマである。
その時に浮かんだのは、シマが何らかのカモフラージュになるのかなとか、たとえ目立ったとしてもじっとして動かなければそれとは認識されにくいというようなことがあるかも知れないと思った。
大体そのように、いい加減な返答をしておいた。気になったので、帰宅して再度考え直してみると、彼の言う通り確かに白黒のシマは目立つので見つかり易いし、動体視力の問題でもなさそうだ。
そこで少しばかり調べてみた。カモフラージュ效果があるとする説、体温調節説、或は仲間同士の結びつきを強くするとか、病気を媒介する虫避け説などが唱えられている。
ある大学の研究によると、シマウマの模様は気温との関連が強いと云う。暑いほどシマ模様が多くて濃いらしい。
これなら少しばかり心当たりがある。何かのエッセイで、積もった雪の上に白、青、黒三色の布を置いておくと、黒布の下がもっとも融けやすく、青がこれに次ぎ、白布の下はあまり変わらないというような実験を扱っていた。
となると、シマウマの場合は白黒の模様であるから、黒いところが暑くなり、白いところが少しばかり涼しくなるのではないか。黒いところで汗をかいても、両側が白なのでひんやり感じるのだろうか。これからすれば、パンダの目を取り囲む黒毛も目を温めることに関連するかも知れない。
研究によると、実際に同じ地域に住む他の動物の皮膚より三度Cほど下がるそうだ。これによってツェツェバエが媒介する感染症にかかる率が下がるようなので、種の保存に効果を発揮するわけだ。新型コロナウィルスに悩まされる現在、シマウマの生き残り戦略が理解できるような気がしている。
ただし、白黒のシマ模様はどうしても目立つ。天敵に狙われやすいのは確かだろう。だが彼らは足が速い。また睡眠時間を限界まで減らして警戒するし、ライオンなどに狙われたときには子供を中に入れて、足を外に向け円状になって防戦するなど群れとして戦うようである。
子供や怪我をした者を守るのは容易でなかろうが、天敵との闘いなら、何とか種の保存は確保できる。感染症による絶滅を避けるために、シマ模様にして皮膚温度を下げることで生き残ったのなら、やはりぎりぎりの選択だったのだろう。

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