毛布

朝晩が冷え込むようになってきた。晩秋と言ってよかろう。裏庭の蔦やらドウダンが赤く色づいて色彩りが豊かである。

我が家は昔ながらの高床なので夏場は過ごしやすいが、冬場になると相当冷え込む。

明治の初めに建てたものなので、途中いろいろ手直ししてはいるけれども、隙間風が入り放題なので家の中がひんやりする。

晴れた日には、どうかすると、外の方が温かいことがある。昨日は気持ちよく晴れて風もなかったので、散歩に出てぶらぶら歩いているだけで手足の端まで温まって気分がよかった。

事程左様に、家の中では何かしらの暖房が必要になってきた。私は六畳ほどの日本間を書斎にしている。畳の上に薄手の絨毯をひき、その上に据えた低いテーブルにパソコンを置いて、座椅子に身を置いて打つ。

毎年寒くなると、毛布を膝掛けにしている。使っては洗いして、恐らくは十年以上同じ毛布を使っていた。白とピンクにちょっとした模様のあるもので、子供が使っていたものを代用していた。混紡のまあ言えば安物である。

数年前だったか、古くなって、真ん中で二等分するように切れてしまった。それでも気にせず重ねて使っていたが、ここ数年ほつれがひどくなり、とうとう今年の初夏辺りでお役御免にした。

近頃急に寒くなって足元が冷えるので、どうにかしなければならない。作業用なので新調するのももったいないし、あぐねていると、ふと私がインドに居た時に買っておいた毛布が目に入った。埃まみれになっていたようで、その上結構重い。それでもまあ何とかなるだろうと思い、日に当ててパンパンたたくにつれ、黴やほこりの臭いが取れて何とか使える状態になった。よく見ると、これはどうやら良いものだったらしい。ウールマークがついており、「アンバサダー」というブランド名が縫い付けてある。相当分厚く、表は落ち着いた茶系のチェック柄だ。

当時私は南インドのマドラスという港町に赴任していた。タミール州の州都であり、南では有数の大都市である。現在ではチェンナイと呼ぶらしい。今はどうか知らないが、当時明るい格子模様をマドラスチェックと呼んでおり、至る所で目にした。かつての宗主国である英国の影響が残っていたのかもしれない。

この毛布をじっと見ても、どのあたりで、どのような経緯で買ったのか思い出せない。それにしても、三十年ほど前の様子が少しづつは思い浮かぶ。何せ熱帯なので普段は短パンが多く、ほとんど綿製で、好んで青系のチェック柄をはいていた。

昨日、とうとうベッドにも毛布を使うようになった。まだ薄手のものだが、布団の隙間から忍びこむ冷気を和らげてくれるので気持ちがよい。

                                              髭じいさん

前の記事

面倒くさいの研究

次の記事

アスペルガー