運転免許の返納
先週、仕事場の近くで交通事故があった。近頃では多くの地区で使われているので豆バスを説明するまでもなかろう。バス停で降りた人が通りを横切ろうとして、バスの前だか後ろだかを出た所で車にはねられたらしい。はねられた人もはねた人も高齢者だったそうだ。聞くところによると相当重症だったらしく、ドクターヘリで運ばれていったという。私は現場にいたわけでもないし、事故の現場すら特定できないが、その衝撃は分かるような気がする。これ程でないとしても似たような経験をしているからだ。
私は乗用車の免許をもっているものの、実際に公道で乗ったことのない完全なペーパードライバーである。無論乗るつもりで免許を取ったが、何だかんだで仕事が変り、外国暮らしをすることになってしまった。当時、赴任先の国で保険に加入することが難しいということで専属のタクシーを使うことになり、自分では運転しなかった。そんなこんなで一番車を使いたい時期が過ぎてしまった。再度八幡で暮らすことになったものの、町中で暮らすならスクーターで十分だった。友人たちはタバコを買いに行くだけでも車を使うほどだったので、私にも車に乗るように勧めてくれた。が、ずるずる車を買いもしなかったし乗りもしなかった。
なぜ車に乗らなかったのか今となってはもうはっきりしない。まず浮かんだのは、私が貧乏だったから。それでも、中古でいいわけだから、これだけではすっきりしない。教習中をのぞけば、私は実際に公道で運転したことがない。ちょっとばかり練習しても、何かどこかで事故を起こしそうな気がしていた。この意味では、車で人を傷つけたくなかったという点は挙げられそうだ。
ならば、なぜこの歳になるまで免許の更新を続けてきたのだろう。いつか役に立つことがあると考えていたのだろうか。本当のところは自分でも突きつめて考えてこなかったが、若い時からバイクやスクーターに乗ってきたことはあるかもしれない。普通車の免許を取れば、自動的に原付に乗れる。
この歳だと原付に乗ることさへ心配される立場である。周りから見れば、危なっかしく見えるらしい。車なら四輪なのに、スクーターは二輪だ。道路に少しでも雪が残っていれば非常に危険である。雪でなくても、雨が降るだけでスリップし易い所が散見する。
次回からは「高齢者講習」になるらしい。実際に車を操作するのであればオートマでもまず無理で、ミッションとなると全く駄目である。視界が狭くなっているし、反応も鈍くなっている。例えシミュレーションにしても手順が心配だ。ブレーキとアクセルを踏み間違えるなど、高齢者の事故が多いと聞いている。普通免許を返納しても、数年はスクーターでゆっくり走りたいが、そんな都合のよい話があるのかどうか。 髭じいさん