ソノ

寒くても二月の半ばまで来ると、暖かな日が混じって春近しを感じることがある。そろそろスギ花粉が飛び始めているらしく、変なくしゃみをする人が増えてきた。

題名を不信に思われた方がおられるのではないか。「ソノ」は八幡の野々倉にあるカタカナ地名で、又小那比に「古(コ)ゾノ」がある。ある程度結論づけて「園」や「苑」にすれば分かりやすくなったかもしれないが、やはり現存する小字なのでこれを尊重することにした。

「ソノ」は園、苑に繫がるとあって語源説がいくつもあるが、私が有力と思われるものを紹介すると、

1 背野(ソノ)、背野生(ソノフ)など。いずれも「ソ」を「背」とし、前者は「ノ」を実態の有る「野」、後者は助辞とみている。フを加えるのは地名の観点から肯首できる。粟生(アハフ)、豆生(マメフ)などの「フ」に通じる。

2 草花生為野(クサオフシノ)、外庭生(ソトニハオフ)。前者は「為野(シノ)」で音を、後者は「外庭(ソトニハ)」で義を原形とする。

3 添野(ソフノ)、

4 狭野(サノ)、

以上である。それぞれ根拠がありそうだ。

「生」について言うと、「オフ」が原形で「フ」は省略形だろうから2の説に魅力があるものの、「ソノ」自体の説明が今一歩納得できない。

1の「ソノ」を「背野」とする点はある程度実態を示しているとは言え、それ以外の配置もあるだろうから、背後という位置を特定している点に不安がある。4の「狭野(サノ)」も「狭い」と定義する必要はなさそうだ。又「背野-生(ソノ-フ)」は「園生(ソノフ)」のような形が元にあって、音義から敷衍した感が否めない。つまり「園(ソノ)」という概念が出来上がった後に「生」が付け加えられたのではないか。

私は3の「添野(ソフノ)」を採用しており、「フ」が消えた形と解している。「添ふ」について言うと、郡上においても白鳥牛道の「野添(のぞへ)」、高鷲正ヶ洞の「水添(みずぞへ)」、美並三戸の「柳添(やなぎぞへ)」などの小字がある。

野添(ノ-ゾヘ)の「添へ」は、ハ行下二段「添ふ」で、連用形が名詞になったものか。「野を添えること」である。「野」を目的語としているので、開拓直後の命名かもしれない。

添野(ソフノ)の「添ふ」はハ行四段の連体形で、「家や田畑に添ふ野」と見られる。この場合は自動詞となり、何世代か経た印象がある。

いずれにしても家屋やその前に広がる田畑が主で、これらに付属する「野」と解すれば、語源として広狭や位置を特定する必要はない。この場合の「野」は農地、又は開拓予定の農地という意味だろう。                                               髭じいさん

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