なごり雪

我が家の裏庭に積もっていた雪が、数日前に降った雨で、ほぼ無くなった。三月に入った辺りから少しづつ暖かくなってかさが減り、その上かなりの雨がきたからだ。日照時間も長くなり、春の気配がしてきた。

私はこれまでずっとズボンの下に肌着などをつけないで暮らしてきた。ズボンにしても裏起毛の厚手をはくようになったのはそれ程古い事ではない。それがこの冬からズボンの上に更にダウンの防寒ズボンをはくようになった。

今から思えばきっかけがちょっと面白い。昨年の秋に屋根のチャン塗りをした際、お気に入りのズボンをはいてやったものだから、ペンキがうまく取れなくて作業着に格下げしまった。ギリギリに回していた冬用のズボンが足りなくなったので新調した際、バイク用を念頭に、安物だけどダウン製も買ったという次第。

雪の日にこれを身に着けて出かけると、これまでとは段違いに暖かい。これに味をしめて冬中ずっと使っていた。もこもこして動きづらいが、ちょっと歩くだけでも足の先まで暖かく感じる。

前に娘に買ってもらっていたダウンのジャケットと併せ、上下ダウンのいでたちで外出するようになった。少しぐらい体が冷えていても、上下ダウンなら、体を動かせばすぐ温まる。というようなわけで、ここのところずっと身に着けている。

上下とも黒だが、意識して揃えたわけではない。ズックや長靴も黒なので、黒いニットの帽子をかぶればもう体全体が真っ黒である。これもたまたま揃っただけで、街中でガラスに映った自分を見た時に気が付いた。このようないで立ちになっていることに少々違和感を抱いたものの、そう言えば黒が好きだったのかなという程度で他意はない。

数日前、ちょっと暖かい日があった。上下ダウンではちょっと暑苦しく感じることがあったので、下の方を使わないようにしようかなと思うことがあった。ところが次の日にまた雪が散らつくような始末で、夜中の通勤帰りが頭に浮かんで脱げずにいる。

今まではよく分からなかったけれども、足を温めるのが体全体を温めるのに良いのかなと思うようになった。そう言えば、今年は足の先が霜焼けになりそうなほど冷たくなることが少なかった気がする。こんな事でも年を取ったことを実感する。                                               髭じいさん

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