イエスと新撰組

 ケーブルテレビでイエスのドキュメンタリー「イエスイヤーズ」という番組をやっていて、思わず四半世紀の時を越えて感動してしまいました。イエスは60年代終わりに現れたプログレッシブロックのバンドで、70年代に「こわれもの」と「危機」という驚異的なアルバムを発表して世界にその名を轟かせました。当時高校生でロックにのめり込みつつあった僕は「なんてややこしくてなんて格好いい音楽なんだ!」と名古屋の片隅で衝撃を受けていました。才能が頭突きをかまし合うようなその音楽は、うまくいくときは次々と奇跡のように新しい音を生み出していきますが、意見が対立したり誰かが飽きちゃったりすると、途端に緊張が保てなくなってしまうのでしょう、なんだかなあって思うような作品も多かったように思います。それでも何とかバンドは形を保ち続け、前に進み続けました。何度も何度もメンバーチェンジを繰り返して、80年代に再び大きな成功を収めました。「わたしはあきらめない」をバンドで実践したような不屈の物語に目頭が熱くなりました。ドキュメンタリーは91年に関わった主なメンバー8人による「やっとたどり着いた理想の」的なイエスのライブ映像で終わりました。メンバーの一人リック・ウエイクマンの「たとえ僕たちが死んでも、ボストンフィルやロンドン交響楽団のように受け継がれていく歴史のような存在に、イエスは今日なったのかもしれない。」という言葉にはもう、やられてしまいました。この時のライブからもう13年が経ち、今もイエスは続いています。いやはやなんとすごい持続力、なんというしつっこさでありましょう。
 その後、NHKの大河ドラマ「新撰組」3回目を見ました。大河ドラマというものを連続してみるのは親元を離れてから初めてのことかもしれません。キャラメルボックスとのお仕事でなんとなく馴染みのある題材なので一回目を見てみたら、まんまと引き込まれてしまいました。ずいぶん前に子供とはまった「仮面ライダークウガ」以来とりつかれてしまったオダギリ・ジョーのこともとても気になります。
 近藤と土方が坂本龍馬と出会い、更に沖田や芹沢らと出会っていく様子はジョン・アンダーソンとクリス・スクワイアがトニー・ケイと出会い、スティーブ・ハウや更にリック・ウエイクマンと出会っていくイエスの歴史にも重なって、僕の「新撰組」は勝手にどんどん盛り上がっていってしまうのでありました。45分で終わってしまうのがあっけなさすぎて「もっとまとめて見せてくれー!」と心の中で叫ぶのでありました。

前の記事

学級閉鎖