2004年、初虫採り。
とーってもさわやかな天気だったフで、日曜日は捕虫網を持って息子と一緒に近所の公園に出かけました。世田谷区でもこのあたりは良好な自然環境が割合保たれていて、ちょっと見回っただけで、アゲハ、キアゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ、ベニシジミ、ルリシジミ、ヒメヒカゲ、キマダラヒカゲ、キタテハ、ミスジチョウ、スジグロシロチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、などなど・・・、十種類以上の蝶を目撃しました。息子は次々現れる蝶めがけて果敢に網を振るうのですが、自分よりでかい網に振り回されるようでなかなか蝶は入ってくれません。不幸なスジグロシロが事故にあったような格好でネットに入りました。「やったあ!」とそれでも息子は大喜びです。虫かごに入れてうっとりと眺めていました。「でもやっぱりアゲハがほしいな。」というので「よし、お父さんが」と、この道数十年の実力を見せることにしました。たちまちのうちにアゲハ1、キアゲハ2をネットインしました。虫かごがいきなり華やぎます。「すげえや、お父さん!」尊敬のまなざしで僕を見上げます。尊敬されることの滅多にないお父さんはとてもいい気分になります。蝶採って尊敬されるのも今のうちだけだろうなあ、とかすかな寂しさが漂ってくるのを振り払ってさらなる獲物を求めて公園を歩き回りました。
その日捕まえた蝶は自宅に戻り、観察や記念撮影などをした後放しました。一匹のキアゲハが息子の手に止まりいつまでも飛び立とうとしません。「この蝶、おれになついたみたいだよ。」と大喜びです。キアゲハを手のひらに止まらせて息子は何時までもそうしていたそうでしたが、「さあ、家へ入って宿題だぞ。」の無情な一言を聞くと、ぶん、と大きく手を振りました。キアゲハは空中に放り出されびっくりしたように羽ばたいて、そして高く高く初夏の(信じられないけどまだ四月)の青空を昇っていきました。