こんにゃく
今日は、こんにゃくのように柔らかい話になりますかどうか。いつのまにか正月が過ぎてしまったので、いわゆる旬の話ではない。我が家には、盆や正月に若い衆が来てくれることがある。その一人が、お婆ちゃん手作りのこんにゃくをお土産にもってきてくれた。
彼らにおでんで一番好きな具は何かと尋ねてみたことがある。なんと言っても彼らは若いのであるから、動物性の竹輪やはんぺんが上位に来ると思いきや、意外に大根やこんにゃくなどを好む子が多かった。さすがに、田舎の子は豆腐やこんにゃくの味を知っているものと思える。
産地の人には失礼な話だが、こんにゃくは、やせた土地で良いものが取れるという。二、三年かけて取れるということも最近知った。
こんにゃくは、漢語で「蒟蒻」と書く。「蒟」「蒻」共に難しい文字で、一般には「蒟」で「コン」、「蒻」で「ニャク」を表していることになっている。
本草書では「蒻頭」と呼ばれている。砕いて、灰の汁であくを出し、五味で調和し茹でて食うとある。こんにゃくは味が辛く、性格は「寒」で、毒があるとされており、なんだか腑に落ちない気分だったが、そうゆうものかと納得するほかない。これを食べると、糖尿病などによる頻尿や喉の渇きを癒す働きがあるという。
また腫物や脚気、筋肉や関節の痛みがある場所に貼ると痛みを和らげるらしい。熱を持ったところを冷やす役割があるのだろうか。
まあ、こんな効能はどうでもよろしい。しっかり煮て出汁の浸み込んだこんにゃくは、その歯ごたえと相まって、まことに美味いものだ。手作りのこんにゃくは、一段としこしこして、味の含みもよく格別であった。お婆さんの作り方を聞かなかったのは迂闊なことである。