猫を観察

モニターの前に猫がいる。モニターに映っている猫ではない。ここ数日、なぜかキーボードとモニターの間に居ついてしまい、さまざまな習性を見せてくれる。黒と茶色が斑になっている小さめの猫である。
猫好きの人なら愛情深い目で細かな観察をするだろう。が、なにせ私はつい最近までアレルギーだと思っていた人間だから、初心者と言ってよく、細かな点は不案内である。今でもかなり用心して接しているが、私が乱暴しないと見切っているからか、彼女はしばしばまとわりついて来る。
正直なところ、彼女は目つきも悪いし、可愛くもない。接するのは身内だけなのに、その姿に関してはあまり評判が芳しくない。
捨て猫の身であったが、拾われたのが早かったからか、結構しつけができている。稀には、そそうすることがある。何らかのストレスが原因ではないかという話になっている。
様々なかっこうで寝転んでいる様子が面白い。ちゃんと座って足を組みそれに頭をのせて目を閉じている姿、とぐろを巻くように丸くなっている姿、そして手足をだらしなく投げ出している姿が目に浮かぶ。それぞれの姿態にどんな必然性があるのだろう。寝ている最中のものうげな表情や、急に耳がぴくぴく動く理由もよく分からない。
これまでゆったりする場所はパソコン前にある座椅子の上が定番で、大抵は彼女にお願いしながら、席を譲っていただくことが多かった。春の段階では、頭を抱えるような姿で寝ていたように思う。今思えば眠りが深かったのかもしれない。
モニターの前に場所を移したのは、梅雨が明けて真夏になり、座椅子が暑すぎるようになったからだろうか。テーブルは座布団より熱がこもらないようだし、ひんやりとする材質が気に入ったのかもしれない。
全身が毛で覆われており、確かに真夏の我が家では暑かろう。ここのところ、手足を伸ばした格好で、だらしなく寝ていることが多い。と書いた瞬間、また丸くなる。
眠気が強いときとそれほどでないときの反応がまるで違っている。彼女の側からすれば、私との間に一応信頼関係があると判断しているようだ。脱力して手足を投げ出している時には少々の物音では反応しないのに、体の向きをしょっちゅう変えているような時には体中がセンサーのごとくである。
今気づいたことがある。私はデスクトップのパソコンを使っており、本体は空冷のためかなり大きなファンが回っている。どうやら彼女はこれに近づこうとしているような気がしてきた。猫の毛がファンに絡みついている。
故障の原因になりそうなのでなんとかファンから遠ざけようとすると、今のところ、怪訝な表情をしながら従ってはくれている。