気楽な散歩
しばらく天気が続いている。雪解けが多いからか、川の水がそれほど減らない。透明度が高くて水色に近く、まだまだ冷たそうだ。
この間、孫と二人で郊外まで出かけた。小駄良川を渡って、彼の秘密基地まではいつものコース。そのあたりでしばらく遊び、尾崎から旧街道をたどって五町へ出る。五町山の西麓あたりで、尾壺城の位置を示すプレートを横目に見ながら高速に入る信号までいく。例によって、彼はめざとく小さなものを見つける。壁で蜥蜴がのろのろ動いていた。
信号を渡って、長良川本流の手前を右手に曲がり、川沿いの桜並木をゆらりゆらり北へ行く。蕾は、いまだ堅いながらも、少しばかり赤みを増している印象だった。
やはり本流は川幅がある。五町の向かいは有坂で、これが大字。南から勝皿、坪佐が字である。
橋の名は確認しなかったが、渡ったあと方向転換して南へ行く。対岸の五町を見ると、すっかり見違えた。建物が多い。これに比べ、有坂は静かでゆっくり時間が流れているような気がした。
畑で作業している人にあれこれ尋ねると、新情報がどっさり。歳をとってしまったのに、知らないことばかり。
右手に白山神社が現れる。江戸時代は、白山信仰の巡礼が立ち寄り、にぎやかだったそうだ。
その前で、孫がしゃがんでごそごそしている。聞いてみると、椿の種を集めていると言う。私に手のひらを広げて、拾った20個ほどを見せてくれる。あるテレビ番組で椿油を作る一連の作業を見たらしい。いたく印象に残ったらしく、目ざとく種を見つけ、さっそく収集していたというわけだ。
そう言えば、境内には何本か椿の古木があった。椿は照葉樹で、本邦に自生したらしい。早春に花をつけることから、江戸時代にも好まれたと聞いている。樹齢は分からないが、何となく由緒がしのばれた。
彼は種をまず乾かすと言っていた。しっかり水分を取り、すりつぶしてから油を搾るのだろう。うまくいくとは思えないけれども、応援したい気になっている。
勝皿の橋をわたって、もと来た尾崎には入らず、城南町から帰ることにした。小腹がへって、コロッケが頭に浮かんだからである。スーパーに立ち寄り目新しいスティック状のものを購入して、さっそく試食。
おかずと言うよりは、おやつに近い味がした。彼には好評で、残りは持ち帰った。
帰宅後、快い疲れと花粉症で、目がしょぼしょぼする。ごろごろしているうちにうたた寝をしてしまった。春眠なのか、けっこう気持ちよく寝た気がする。