屋根の修理

とうとうその時がきたか。梅雨のさ中である。
雨の降るたびに肝を冷やしていた雨漏りが覆い隠せない状況となった。強い雨が降る時に限られていた雨漏りや樋のオーバーフローが、ほんの少しでも起こるようになった。
今まで少しずつなだめてきた方法では間に合わなくなったということだ。修理方法については幾つか候補を考えてきた。家主の意向もあるが、今後二十年ぐらいを念頭においている。
都会で借家をしている人には分かりにくいかもしれない。田舎では、入居する前に、借家人の費用で家を修理することが珍しくない。特に水回りについては、消耗度合いが激しいので手を入れることが多い。そのかわり、家賃は安めに設定する。
だが今回は屋根が寿命を迎えた話なので、大家持ちだろう。修理を拒否するというのは、この家を廃棄するという意味になる。まあそれはさておき、
1 屋根をはぐって全面改修する。
2 一旦トタンをはぐり、下を簡単に修理して、トタンを含め使えるものは再利用する。
3 はぐるのはコストがかかるので、今のトタンの上にコンパネを全面に敷き、軒に補強材を入れて新たにトタンを張る。
1は家の古さから、屋根だけを大修理する印象があり、費用が掛かりすぎる。工法に異存はないが、いずれ他の部分も修理が必要になるので家主も同意すまい。この場合、家主のみならず私にも負担がかかりかねない。
2は、下の板が相当傷んでいるので、1と同様に手間も費用も掛かりそうだ。またトタン板も限界がきており、これ以上だましだましは、結局コストが重なるだろう。もはや現実的でない。
3は、屋根の上にコンパネを一面に敷き強度を増す作戦である。点や線では心もとない状態なので、強度の残っているところを最大限に利用し、面で支えようということだ。これだと屋根をはぐる必要がない。針葉樹系の合板なら腐食にも強かろうし、トタンも張りやすい。これなら強度も十分だし、作業日数もコストも抑えられる。ただ軒に出ている垂木は殆ど使い物にならないので、多少良い材で補強する。
以上から、一大決心して業者に見積もりをお願いした。これを持参して家主と話したところ、反応は悪くなかった。ただ今回は家主が代替わりするようで、費用対価が不安らしく、業者立会いの下で工法の説明を受けたいとのこと。その気持ちは分かる。
私が心配しているのは、私の説明が下手で、彼が気に入らないということではない。その気になってくれさえすれば、他の業者に見積もりを頼めばよいし、何の不服もない。その気にならないとすれば、はてどうしたものか。リアルタイムのレポートである。

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