イカの話のつづき

乙姫川沿いの桜がほぼ満開になっていた。今年が早いのか遅いのかわからない。そういえば、旧庁舎裏の大木も満開になっていて大そう華やかな様子だ。町も人通りが増えているようだったし、賑わいが少しは戻ってきたのかもしれない。

正月からずいぶんコロナ禍で痛めつけられた。いつもは帰省する連中が来れなかったし、私もちょっとした遠出も憚られる始末である。去年に引き続き、今年も春祭は自粛することに決まったらしい。ただ神事は例年通りやるし、幟だけは立てるそうだ。

このあいだ、役場から新型コロナのワクチン接種について問い合わせが来ていた。まずは受ける気があるかどうかを確認し、凡その数を確認するためのものらしい。年寄りが優先されていそうなので忸怩たる思いだ。高齢者が重症化しやすいということで配慮されたのだろうか。命に軽重があるはずがないとしても、安全確認をしっかりやった上で、若者を優先して欲しいと考えてきた。現状ワクチンの数が充分でないそうなので今回はパスすることにした。

そうそう、この間書いた「イカの話」がちょっとした話題になったので振り返ってみる。これは元々ある高校生がイカの語源をネットで検索したことから始まる。それには「イカが烏を捕らえて食べる」というような説があって、得意そうに教えてくれた。腑に落ちなかった私がちょっとばかり調べて書いたのだが、彼に一応異説として認めてもらって嬉しかった。

喜んだ私はこれを孫にも話したのである。本来「孫」には「小さい」という意味があるそうだが、私の孫は既に私より背が高く、私を見下ろすばかりになっている。してみると「孫」という言葉は小さいころの姿を念頭に入れて作った字ということになるのかな。彼には「鰂」「鯽」「鱡」がそれぞれ魚偏で「則」「卽」「賊」が音を表す形声字というところから説明し、「ソク」辺りで音が共通していることを言うと、何となく分かったような表情をしていた。

その後だったか、彼は「お爺ちゃんのやっていることを継がないといかんのかなあ」と言う。私は一瞬何を言っているか分からなかったが、落ちついてから、「自分の思うように生きればいいんだよ。ただ好きでやっているだけだから」と答えたように覚えている。無論自分のやっていることは大切だけれども、孫を巻き込むほどの価値があるわけもない。ただ彼がこんなことを考えていたとは驚きであったし、何となく嬉しくなった。イカは走馬灯に描いておこう。                                               髭じいさん

前の記事

カイトの語源

次の記事

尾根について