葉桜

実際のところはよく分からないが、何故か去年より桜が目に入って来たように感じている。仕事場へ行くときだけでも、我が町内に乙姫川を蔽っている枝垂れ桜や、吉田川沿いの大きな桜の木が何本か目につく。とっくに満開が過ぎて緑が目立ってきている。枝垂れ桜の方は少しばかり残った華のピンクも目立たなくなってすっかり葉桜になった。何本か並んだ大きな桜の木のほうは、まだ全体に濃いピンクを保っている。

今年も花見に出かけることはなかった。誘われれば弁当でも持って愛宕公園へでも行きたいところだが、一人ではそんな気にならない。

ここ数日冷たい雨が降り続いた。先週の情報では、高鷲で雪が降ったそうだ。道理で寒いはずで、八幡でも肌寒いを通り越して厚いジャンパーが恋しくなった。晴れた日は春らしい光りになっているけれども、まだ風が冷たい。桜が散ってからなので、少しばかり違和感があった。

といういことで、郡上ではすっかり様相が変わっている。山では木々も芽吹いているようで、色とりどりの緑で賑やかになってきたし、ちらほらコブシの綺麗な白がアクセントになっている。我が家でもドウダンが満開である。

杉花粉のアレルギーが山場を越えたようで、檜花粉まで少し猶予があるらしく、鼻水の垂れるのも一段落している。季節にはそれぞれの善い所があって、どれが一番ということはないとしても、私は体調やら景色などからこの時期が気に入っている。紅葉もいいし、冬枯れの山々も美しい。また山の萌黄から新緑への移り変わるこの時期は清々しいし、生きていてよかったとさえ感じる。

今年は三年ぶりだか八幡で春祭りが行われる。先週末、町内で旗立てやら横断幕の設置をやったようだ。というのも、いつもは手伝うのに今年は寝過ごしてしまって、気がついた時にはもう済んでいた。一人暮らしで気楽なのは良いとしても、よほど気をつけないと、こんなことになってしまう。しっかり日常をこなしている高齢者には不快かもしれないが、独居あるあるかもしれない。

洗濯もなかなか厳しい。なんとか洗濯機で絞るまでは行けそうな気がしてきたものの、干すのがまた難しい。ここ数日続いた雨で、部屋で干すよりなく、すっきりとは乾かない。やっと今日、朝から晴れて干すことができた。町家なので日照時間が短いながら、なんとか乾燥したのでほっとしている。聞いたところによると、こんな場合はコインランドリーで乾燥だけやることがあるらしい。

葉桜も言ってみれば新緑であるから、生きる元気をもらえそうな気がする。身をごそごそ動かして生きる隙間をつくろうか。                                               髭じいさん

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