鬼はうち?

2月3日は節分である。「節分」とは太陰暦でいう立春、立夏、立秋、立冬の前日を指す言葉で一年に4回訪れる。これがとくに立春の前日に「鬼やらい」の行事として家ごとに、「鬼は外、福は内」と唱えながら豆まきがおこなわれるようになったのは室町時代の頃といわれる。筆者が子どもの頃は祖父とともに豆まきを行い、遊び気分でなく、なにやら厳粛な感じがあった。節分の日は暗くなる前に家に戻るように、特に言われた事を思い出す。ところが近ごろは、豆まきの時に「鬼は内」とか、「鬼」を省いたりすることが流行らしい。子どもに対して悪いイメージを与えたくないという配慮なのだそうだ。同じような事が童話を話して聞かせる時にも、残酷だといって話を曲げて、「みな良い人になりました」ということになるらしい。こうした風潮は教育熱心な「知的」家庭に多いと聞く。これを大人の浅知恵という。と、心理学者の林道義氏は言っている。成長期の子どもが、お化けや、悪者をやっつけたりする場面を喜ぶのは、残酷さを好むからではなく、悪者をやっつける事によって自我が安全になる事を喜ぶ訳で、こうした元型的な悪者のイメージ を禁止されると自我の形成を阻害する危険性がある、と警告している。

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