養生訓

 NHKの深夜番組の「人間講座」を午前3時半頃まで見てしまった。不養生も甚だしいが、貝原益軒の『養生訓』の講座である。400年前の学者について、かつて殆ど気に掛けた事がなかっただけに、話は新鮮であった。益軒は江戸前期の福岡藩の学者で活動は儒学、博物学など多岐に渉っている。主な著書には儒学分野で『近思録備考』、『大疑録』、科学の分野で『大和本草』等の大作を著し、晩年本題の『養生訓』を書いた。自らの学問を”民生日用の学”と位置付け、著書は仮名混じり文で書いた。今私達が”元気”という言葉を使っているが、その”気”について深く考えた人なのである。気力、勇気、根気、平気、病気・・・・など、”気”のつく言葉はたくさんある。『養生訓』は、その”気”をどのように整えるべきかを、丹念に具体的に示している。病が癒えて元気になる、のではない、”気”が充実して、病が癒える、と言っている。また、働きすぎ、休み過ぎは良くない、などとも書いている。”気の休まらない”現代にあって、少しは彼のつめの垢でも煎じて飲んだほうが良いのではないか。

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