夏の朝のホラー

 三羽のカラスが朝っぱらからばさばさと飛んできては何かお隣のうちであばれています。ゴミをあさっているようです。布団の中で「うるせいなあ、カラスのやつらめ。」と腹を立てながらうとうとしておりました。ゴミをくわえては振り回し、それを奪い合ってぎゃあぎゃあ鳴いたりしてとにかく大騒ぎです。あまりいつまでもうるさいのでとうとう僕は虫取網を持って外に出ました。
「えいや!」っと網をふりまわすと、二羽のカラスがまんまと入りました。一羽は逃げていきました。「このやろう!」と首を持って振り回すと、二羽はあっけなく死んでしまいました。「やや、これはやりすぎてしまったな。すまないすまない。」と言いながら僕は二羽のカラスを地面に埋めました。「しかしこれで静かに眠れるぞ。」と思って布団に戻りました。しばらくすると、ばさばさばさとさっきよりも大きな音で目が覚めます。「なんだ、また来たのか。」と呆れながら窓を開けると、そこには巨大なシマフクロウが留まっていてこちらをにらんでいます。となりで生き残りの一羽のカラスがにやにや笑っています。どうやら強い仲間を連れて仕返しに来たに違いありません。慌てて窓を閉めて、家の中から様子を見ていました。すると、ばさばさばさ、ばさばさばさ、次から次へといろんなモノが飛んで来ました。ツルや鷲、コンドルやら果てはダチョウまでやって来ては僕を取り囲んで静かににらみつけているようなのです。これはもう謝るしかないけど、どうやって謝れば良いんだろう。はて、困ったことになったぞ、と途方に暮れ始めたところで目が覚めました。汗びっしょりになっていました。そして窓の外には三羽のカラスが留まってこちらをうつろな目で見ているのでした。