水との格闘

この場合の水は雪や氷のみならず、湿気も含む。梅雨が終わり、朝から蝉がシーシーと鳴いている。屋根の修理が終わり、雨漏りの心配がぐんと減った。
真夜中でも、強い雨が降ると目が覚めて窓の外を眺める日々だった。二階の寝室では壁際の雨漏りがひどくなり、天井にも二か所ほどカビが出ているし、継ぎ足した台所との境ではひと昔前に見られたような雨漏りがする。
度重なるチャン塗りの滓がこびりついて樋が浅くなり、雨量が多いと、どこもかも溢れる。前も後ろも滝のようだ。
中でも、境界の雨漏りがひときわひどい。原因は複雑で、主に三つある。
1 継ぎ足した台所の屋根が高くなっており、母屋との継ぎ目が窪みになって水が出ていけない。
2 新たに建設された隣家に窓が設置され、屋根の一部が切られたのに、その跡が養生されていない。これによる雨水が1で触れた窪みに入り込む。のみならず、浸みた水分で軒が腐食し、脆くなった材木の滓がパイプに詰まる。
3 雪の重みで樋が曲がり、修復が難しい。チャンの滓がこびりついて浅くなっている上に、桝が小さく溢れやすい。
1と2は構造の欠陥によるので、人の精神力を徐々に奪っていく。大規模な修復以外に、根絶は不可能だ。流れ込んだ水も降り込んで来た雨も、雑巾を絞って水を取るしかない。こんなことがずいぶん続いてきた。
3については樋やパイプを新しくすればよいことだが、話はそう簡単ではない。私がやれば材料費のコストだけですむが、上手に勾配をとり、しかも積もった雪の重みに耐える必要がある。やはり自分の力では難しい。
今回の修理で、母屋の雨漏りはなくなるだろう。また隣りとの欠陥もほぼ解決できたように思う。ただ、すっかり修理できたわけではない。継ぎ目の窪みは相変わらずである。今のままなら、吹き込んでくる雨まで防げない。だがまあこれぐらいなら、ちょっとした手当てで済みそうだ。
腑に落ちない点があるとしても、郡上は水の町で売ろうとしている。名水百選の一つに選ばれたところがあるし、井川小径は観光名所になっている。
今回は、大きくなりすぎた柿の木もばっさり切ってしまった。日当たりが回復し、湿気がとんだように思う。ただし、切った材を井川に板を渡して搬出するほかなく、職人さんの安全のため、川べりの藪をすべて整理しなければならなかった。これによって景観が変わってしまい、雨水を左岸へ流す塩ビのパイプがむき出しになってしまった。管理している地元の団体へ予め連絡しておいたが行き違いがあったようで、これを覆うためか、あらたに簡単な垣根をつくることになった。

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