つっかけ騒動記
何回か前に書いたつっかけ騒動の後しまつである。あれを書いた翌日だったか、最寄りの警察に問い合わせてみた。些細なことなのに、この歳になっても、やれ国家だのやれ公権力だのとなるとぎこちない。
細部にこそ本質が宿るということもある。というような大義名分を真っ先に挙げることがすでに堅苦しい。肩の力を抜いて、報告することにしよう。
直接警察に行って話をするのも大げさかなと思い、電話で次のような問い合わせをした。
1 草履を履いてスクーターに乗ると違反になる根拠、それが生まれた経緯。
2 どのように交通安全にかかわるのか。
3 なぜ広報もせずに、一発で罰金刑になるのか。
などである。
1については、岐阜県公安委員会の規則にあるという。ただし、かつては足でギアチェンジをするタイプのバイクが念頭にあり、下駄だと支障があるので違反となっていたらしい。これなら私も下駄を履くということはないし、納得する。かような時代が過ぎているのに、スクーターなどのタイプでも「下駄等」として規則を継続している。
2 警察の説明では、一旦停止で地面に足が着くことがあり、草履が脱げることも考えられるので規則を継続しているという。何だか官僚の作文みたいな理屈である。そもそも一旦停止して安全確認するのは、止まるのが安全だからである。仮に止まる時に脱げるとしても、止まっているのであるから、落ち着いて履きなおせばよい。止まっているのが危険であれば、そもそも止まることに問題がある。
これについて裁判例ぐらいはありそうなので尋ねてみたが、よく分からないという。
3 規則であるから、警察官の判断で違反を検挙し、簡易の行政処分しても問題はないという。確かにこの規則を知らなかったことに過失はある。彼らの言い分にも一理ある。だが、昼間から観光客が堂々と道の真ん中を歩くのが日常であるし、踊りの後など規制していないところでも散らばって歩いている。郡上が観光で生きていく以上、あまり細かなことに「介入」するのも問題がありそうだ。
だがこれを念頭に置けば、草履でスクーターに乗ることと比較して、どちらにより安全に問題があるのか一目瞭然ではないか。
私には子供がいるし、孫もいる。彼らが安全に暮らせるのも警察のおかげという意味もある。としても、警察が任務を遂行するには市民の協力が欠かせまい。互いの信頼関係が必須である。
規則の必然性を充分広報した上で、フェアに運用するのが基本だろう。そのやり方に失望したものの、金も暇もない身、罰金刑を甘受して送金した。