修学旅行

ここのところ続けて修学旅行の話が出てきたので、あれこれ書いてみる。ほろ苦い思い出になっている人もいるにはいるだろうが、甘酸っぱい記憶を大切にしている人の方が多い気がする。

もうこの歳になると大昔の話なので、大まかなことは憶えていても、人の顔とか細かなことは戻ってこない。同窓会でもやれば話の中で甦ることがあっても、わざわざ出かけて来なかったのでこのままゴールしそうである。さすがに四十代や五十代の連中はこと細やかに覚えていて、少々羨ましい気分になったりする。

私は小学校の修学旅行として伊勢へ行った。当時、既に母子家庭となっており、行けるかどうか自信が無かった。どうにか行けることになり、気恥ずかしくて嬉しかった記憶がある。人になじまない性分だったからか、心置きなく遊んだり、気軽に話したりする仲間がいなかったように思う。

伊勢神宮の前で撮った集合写真が一枚残っているだけで、後ははっきりしたことが思い出せない。ただ、お土産として「生姜板」と言ったかな、生姜味の砂糖を固めたようなお菓子をお土産に買った気がする。

中学時代は東京、高校時代は信州へ行った。この辺りでは裕福ではなかったものの、当たり前に修学旅行へ行けたのは幸いだった。中でも上高地が気に入り、大学に入ってからも通った。

コロナ以前、こちらの小学生は京都、奈良が定番だったらしい。中学生は東京で、いつからか東京都内での班行動とディズニーランドだったかな。高校生は九州沖縄方面へ行っていたと思う。

ここ数年、新型コロナで受難の時期にある。小学生については情報が耳に入ってこない。去年だったか中学生はほぼ岐阜県内の旅行になってしまったらしい。高校生にしても中部圏は出ていないようで、簡単に仕方ないと言ってしまえない気がする。

かつて新幹線や飛行機に乗って遠出していたのに、何となく近場で済ませられている。新幹線に乗ったことがない子とか、飛行機に搭乗したことがない子もいたようで、相当残念な思いをしたようだ。だからと言って、つまらなかったという話は聞いていない。例え近場としても、仲間と何泊かする旅だから、面白くないはずがない。田舎の子達なので皆大人しいと思うかも知れないが、そうでもないらしい。ディズニーランドでミッキーマウスだかを突いて水に落としてしまい、しばらく出禁になったとかならなかったとか。

残念な思いを一人で抱えるのはしんどい。仲間が沢山いれば、時間が経つほどに、話の種になって共通の運命を嘆くことも出来る。                                               髭じいさん

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