春の気配

郡上では三月に入った頃から暖かくなった気がする。日も長くなり、着実に春が近づいている。我が家の小さな庭の雪はとっくに消えた。すっかり融けたのはいつだったか、今年は結構早かったと思う。雪かきで傷んだ腰のつらさも和らいできた。だがこのまますんなり春が来るとは考えていない。これまでどれほど痛い目にあったことか。

ここ数日晴れが続き、昼間は確かに暖かで分厚いコートを着ることはない。が、夕方から急に冷えだす。まだまだ朝晩は寒い。うかうかすると、すぐに体が冷えて風邪をひきそうになる。とは言え、仕事場でストーブを全開するようなことも無くなり、部屋も暖めやすくなった。

歳を重ねて、暑さ寒さへ対処が変わってきたように思う。若い時は今より新陳代謝が活発で基礎体温も高かった。今ではさほど運動しないし、食事の量もめっきり減ってしまった。暑さに参ることはないとは言えないが、やはり冬の寒さの方に負担がより大きいように思える。

肩が冷えれば腕が上がらなくなるし、首が冷えれば少し動かすだけでゴリゴリと音がする。バイクや自転車に乗っていると、手袋をつけているのに、血の気が引いて指先が死人のような色になってしまう。血流に問題があるのか、指先の運動が足りないのか。

また気を付けて清潔にしているのに四六時中マスクをつけていると、アカギレからか耳の後ろがヒリヒリ痛い。また皮膚が乾燥してイライラするほど痒いなど、故障が満載である。

こうなってみると、夏場が快適という訳ではないが、気になることが少ないように思える。やはり雪国では春が恋しい。

先月の後半ぐらいから目がショボショボし始めている。今月に入って花粉の量が一気に増えているようだ。残念ながら八幡は杉林に囲まれている。見上げてみると殆どの木は大量の花粉を抱えており、少しでも風が吹けば吹雪のように散らばる。外に出れば、どうしても花粉を避けがたい。外出時にはマスクをつける習慣がついており、くしゃみは例年より少ないかも知れない。目の方は擦って傷つけないよう直に触るのを避け、まめに目薬をさして行こうと思う。

鬱陶しいことがないわけではないが、死と隣り合わせの寒さが峠を越して春の気配を感じると、もう少し生きてみよう、もう少しやってみようという気になる。

今春は孫全て卒業年にあたり、それぞれ中高大への入学が重なった。記憶に残りそうだ。ここまで無事だったということで、目出度いと言っておく。

例年、必ず寒さのぶり返しがある。我が家では雪かきの道具をまだ片付けていない。ゆめゆめ油断めさるな。                                               髭じいさん

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