虚勢を張る
近ごろ存在感が薄いからか、思い切り自分を出してしまうことがあった。私にも自己顕示欲があるということだろう。何もこんなことをせず静かに暮らせばよいものを、業の深いことである。年をとっても一線で活躍する人が多いのに、普段私にはそんな元気が湧いてこない。それでも、たまには前へ出るのも悪くない。
どちらかと言うと、私は表に出て何かすることを好まない。一人でじっくり何かに取り組むことが多い。地味ではあるが、一つ一つ積み上げては壊し、又積み上げることを繰り返してきた。こんなやり方では、目だった成果が出るということはまずない。だからと言ってイライラすることもない。だからこそ間欠泉のように時おり自分を発散してしまうのかも知れない。
但し、今回は悪い癖が出てしまった。若かりし時に、たまたま出来たことをさも自分の手柄であるかのごとく若者の前で披露してしまったのだ。狂簡たり、虚勢を張るとはまさにこのことである。
一般に虚勢を張るのが悪いわけではなかろう。自分の弱い心を叱咤することになるかもしれないし、人前に自らを晒して約束事をしたような気になり発奮することもある。それに見合う修練をしさえすれば、成長の糧になるし励みにもなる。
かくの如く虚勢を張っても若い時にはそれはそれで有益なことがあるとしても、この歳になって自分を膨らますのは中々しんどい。
自分の言うことに幾らかでも影響力があるとすれば、自制をもっぱらにするべきだろう。彼らに有益なことがそれ程あるとは思えない。時間が経てば結局のところ老害になってしまう。私のできる事といえばごく僅かで、裏方として彼らを支えられれば本望である。
振り返ってみるとどうも今回が初めてという訳ではなくて、自分を解放するため定期に噴出しているようにも思える。かくの如く、あるがままに生きてたまに虚勢を張るのか、それとも自省し抑え込まないといけないのか。
ストレスを解消するために他の人を巻き込むのは本意でない。爆発の勢いを抑え、共に楽しめるようなやり方を工夫できるはずだ。たまに元気な姿を見せるのも悪くあるまい。虚勢を張って、自己顕示を丸くやれるようにしたい。 髭じいさん