近ごろ記憶に残った買い物
特別なことがない限り、近ごろ週二で買い物へ行く。日常のありふれた物を買うだけなので、高価なものは言うに及ばず、珍しいものとてない。従って記憶に残ることもそれほどない。それでも自分の体調やら、世情を示していることには何となく新鮮さがある。
二月中頃だったか、図書館からの帰り道、たまたま民家の玄関先で白菜を並べているのに出会う。私は鍋物だけでなく、油揚げなどと煮た野菜が好きだ。何とはなしに惹かれて覗いてみると新鮮な白菜である。何と一株五十円、大きいものが百円と書かれている。当時、スーパーで買えば恐らくその十倍近い価格がついていたと思う。
並べている人に聞くと、農薬をあまり使わない人が持ってきており、中に虫食いがあるかも知れないので安くしていると云う。
よく考えて見ると、大量の農薬を使って綺麗な姿の野菜に食指が動かない。虫も食わないようなものは出来れば避けたい。安い上に、口上が気に入って大きい株を二つ買うことにした。
これがまさに大正解。一つは数日以内にさっそく煮物で食べたが、柔らかくて風味がよく私好みであった。あとで聞くと、中に青虫が一匹いたらしい。これなら安心できるものだと確信した。大量に煮たので数日は楽しめた。
因みに別の白菜は新聞紙に包んで保存し、少しずつ食べた。これは虫食いもなく綺麗だったそうな。
もう一つはこの間触れたダウンのズボンである。私は並の身長があるので通常は既製品で間に合う。ところが実際にはいてみると、ウェストはあっているのに随分長い。私の足が短い上に、若い人は平均して足が長いからだろう。他を探してもサイズの合うものがない。普通なら諦めてしまうところだが、その時には冬場にスクーターに乗ることをイメージしていたので、どうしても欲しくなった。そこで取り寄せるということで、一週間ほど待ち、やっと手に入れた。それでも幾らかは長めだったが、気にしないことにした。
実際には普通のズボンの上にはくので、まずまずぴったりのサイズだった。結果オーライというやつだ。一旦身に着けると、もうこれが手離せなくなってしまう。今までは寒くてもやせ我慢をしていたのかも知れない。おかげて、通勤の時に寒い思いを減らせたように思う。
どうやら私は買い物が好きではないようだ。お金の勘定をするのも面倒だし、一つ一つ吟味する根気もない。そういった意味では、近頃馴れたきたカード決済はまことに宜しいし、財布が軽くなる。元々中身はそんなに入っていないがね。今回書いた二例はたまたま記憶に残ることになったが、なぜか共に現金決済だった。 髭じいさん