名作といわれる作品

学生時代「名作を読もう」などとして文部省推薦「私の選んだ100冊」なんてものがあった。 当時これらを不快に思ったものである。 思い返すと若い時は全てに反抗的で、知識と経験が未熟で実力が無く若僧やギャルは反抗的であることが一番手っ取り早い自己アピールだから、これもまたやむを得ないことなのかもしれない。
 ところが“オジン”と自他共に認めるようになると、“名作は良い、できるかぎり名作に接するべきだ” と180度視点が変わってしまった。 その理由は、幼稚園の子供を連れて毎週、図書館に行き絵本を借りていた。 どんな絵本が良いのか解らないから本棚の「あ」から始まる絵本を無作為に借りていった。 三年近く経過したとき「あれ! この絵本はかって読んだことがあるみたい?!」と思うことが多くなった。理由を考えてみると、名作は名作故に亜流や支流を多く作るので似た作品が増えると気がついたのである。 金と時間と労力を省く視点からすれば、名作と云われるものを選ぶのが効果的で安上がりである。 では、私にとっての名作を一点だけ挙げるとすれば1960年代のイタリア映画「ひまわり」。 教科書的な薄っぺらい物ではない重厚で立体的な文化と歴史を教わった気がしている。