生涯学習

 この言葉は輸入品のひとつで、1965年ユネスコにおいて、ポール・ラングランという人が、個人と社会生活全般に渉る学習機会の統合をテーマにライフ・ロング・エデュケーション(生涯教育)を提唱したことから、日本の自治体において推進され始めたのであるが、その成果を上げたとはいえない状況であろう。学校教育を終えて社会人となった後、更に必要となる教養、専門知識、技術などの生涯を通じた研鑚の重要性に異論をはさむ余地は無い。21世紀に入った現代において、その重要性はますます大きくなっている。個個人にとっての必要は極めて多様であり、それら全てに機会を与える事は自治体においては無理があるといえる。更に云えば、個人のこうした意欲は、自立した個人が在ってはじめて成り立つものである。日本において学校教育が自立した個人を育てることを前提に行なわれてきたとは思えないのである。状況を変えるためには、体制に期待することをやめて、自ら学習の機会を作り出す、多くの個人が生まれてくることを期待することしかないように思われる。

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