おまえんとこどうや

「おまえんとこどうや。ちったあ(少しは)ええかよ。」「だしかん(だめ)わ。まったくやっとれんでいかんわ。値は上がらず材料費ばっか高こうなってはよぉ」「こんな状態いつまで続くんやしらんが、辞めてしまいたいわ」 ―――ある同業者の会話です。厳しい経営環境の中で一向に収益が上がらず、低迷する消費のあおりを受けて、この先の見通しも立たない状態につい愚痴や不満も飛び出すのもやむを得んことかもしれません。 「そんでもなぁ、お互い仕事は厳しいが、おれたちこれでおまんま食わしてもらっているんやでなぁ」とポツリと一言いわれた人がありました。私はハッとして、その人の顔をしばらく見つめていました。鈍感な私にも、やがてその人のことばの重みが知らされました。 同じ仕事をしていても、一方は自分の立場でしか物事が見えないで不都合ばかりをいっているけど、後の人はその仕事によってあらしめられている自分が見えている人の言葉なんだと。 古いインドのことばに

前の記事

自由と平等

次の記事

鉄腕アトム