学校完全5日制

 4月から、公立の幼稚園、小、中、高等学校において完全週5日制が始まった。この制度のねらいは、「休日の拡大などに伴って、家庭・地域などの学校の外での生活における子どもの活動基盤の強化を図ることや、自由に選択できる多様な活動の場や機会の充実を図る」ことにあるとされている。いわゆる「ゆとり」教育の方向である。これに対して、平成13年度に岐阜県が行なった5日制についてのアンケート結果によると、保護者の4分の3が、完全実施について、「不安がある」「多少ある」という回答を寄せている。不安の主なものは「時間を無駄に過ごす」が第一位で約50%、次に「学力低下」が約30%であった。これらの「不安」はもっともなことであると思う。親の心情として、「学校へ行っていれば安心」という気持ちが揺らぐことになる。▲「ゆとり」教育は「教科書」についても、学ぶべき内容が削減された。これを懸念する声も多い。また、体験学習などへの時間が増加された。こうした事への対応はさまざまで、土曜日を「補習」に使ったり、地域スポーツクラブを整備充実したりと、休日の使い方による「格差」はより拡大すると思う。▲筆者は基本的に5日制について賛同するものである。現代社会は目まぐるしく変化し、多様である。国際化の進展も急速である。この傾向はますます加速すると考えている。子どもたちが成人し社会に出たとき、こうした状況に直面することになる。そしてその中で生き抜き自己実現をしなければならない。そこで必要な資質は、自分で判断し、正しいことを行なう力だと思う。これまでの「学校に任せておけば大丈夫!」という気分が、完全5日制の実施によって、安閑としていられなくなる。結果的に親も子も考えるようになる。その事を期待するものである。

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