本格的にうすぼんやりの日々

 もう、十月だったのか。もう四週間くらいかそれ以上、仕事というものをしていない。僕の仕事というのはギターを弾いたり、歌を歌ったり、曲を作ったり、という遊びの延長のようなものなんだけど、それでさえ今はするのが億劫だ。僕はだいたい一年に一枚くらいのペースでZABADAKのアルバムを作って来た。ZABADAKのアルバムを作ると僕は絞った雑巾みたいになってしまって、普通の状態になかなか戻れないのだけれど、年を追うごとに戻れ無さ具合がひどくなっている。去年はひと月くらい使いモノにならない期間を過ごしたのだけれど、今年はもう少しかかりそうだ。といってもこの使いモノにならない時期というのは、けして不快な時間というわけでもないのだ。何もする気が起きない、という状況は「うつ」に似ていてちょっと困るが、僕の場合は「何もしなくても平気」という感じなのだ。実際には何もしないとお金も入ってこないわけで全然平気じ?ないんだけどそういうことも気にならなくなってしまって、なんだかぼんやりと平気なのだ。本を読んだり昼寝をしたりして日々が過ぎていく。昼寝から覚めると散歩をする。うすぼんやりと家の周りをうろうろする男を見て近所の人はいぶかしい思いを隠せない表情をするが、それも当然平気だ。それでも昨日くらいから何もしないでいるのが少しつらくなってきたので、昨日は部屋の掃除をした。四年ぶりくらいでフローリングにワックスなどかけてみた。とても充実したのでビールを飲んだら寝てしまった。今日も少し退屈を感じたので布団を干したりしてみた。素晴らしい秋晴れの下で布団を干し、洗濯物を干し終わると、充実した。午後、少しまた退屈になったのでこのだらだらした文章を書き始めた。今日はたぶんこれで終わるだろう。明日はコドモの運動会だ。すこしだけわくわくしている。すこしづつ、すこしづつ干からびたタマシイに潤いが戻ってきているような気もする。気のせいじゃないと良いな。

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