スキー客

デリケートな問題を含むので、慎重に言葉を選ばなければならない。まあ、雪のない時期にスキーを考えるのも一興だろう。
過疎に悩む我々山間地の者は、地場産業の創生といっても容易ではないし、手っ取り早く観光で客を集め経済効果を上げようとする。この辺りで冬場の観光と言えば、温泉とスキーあたりである。
しっかり手順を踏めば、観光も悪くない。若者が町を闊歩するのは気持ちが良いし、何となく活気があるような気がする。だが、少なくとも八幡に関して言えば、スキー客はす通りである。す通りだけならまだしも、交通を大混雑させる。
八幡は白鳥以北や明宝のスキー場への基点となる所で、せせらぎ街道から国道156号線に入る信号や、旧八幡から美並へ向う信号はどこでも大渋滞である。国道に並行する県道もやはり同じで、どこも数珠繋ぎだ。頼みの東海北陸自動車道も、すんなりとは走れない。
若者は、ガソリン代や飯代のみならずリフト券を買わねばならないから、高額の高速代金を払う余裕もさほどあるまい。まして、高速道が低速道になってしまうから、専用道路を使う気にならないだろう。
渋滞を解消する名案はない。地元の者としては、生活道を失うだけではなく、火事や、急に病人がでることも心配だ。
遊びは、心の遊びである。心に隙間をつくり、自分を取り戻す方法の一つだ。一生懸命になって車を走らせ、一日中スキー場ですべり、くたびれた様子で帰って行く。これでは、どこにも隙間はない。むしろ、疲れたドライバーが事故を起こすことすら心配である。我々も、若者の遊びを応援してやりたい気持ちがないわけでない。学生ならタイミングをうまく取り、サラリーマンなら有給休暇を利用し、ゆったりした日程で心の遊びをしてもらえないだろうか。
洪水のような車をみると、何だか悲喜劇のできそこないのように感じざるを得ない。

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