草引き

梅雨に入ってから、「雑草」の伸びが早い。畑の草引きなら相当覚悟が必要だが、狭い庭のことだからそれほどでもない。だが、狭いからいつでもできると考えていると、痛い目にあう。
我が家は、明治の始めに建てられた鰻の寝床のような町家で、夏になると吉田川や疎水の風が入ってくる構造になっている。だが庭を藪にすると、風が通らなくなるし、蚊も出てくる。
今年は、富士柿の花芽がたくさん出来て、どんどん落ちている。去年は花芽が多くない上に、次々落ちて、とうとう実が一つも手に入らなかった。
まあ、たいてい我が家では「自然適果」だと考えて放っておくが、今日庭に出てみると、落ちた花芽が相当な数に上るのが分かった。柿の下で洗濯物を干すので、その回りだけでも綺麗にしようと思ったのが運の尽きであった。放っておいた草の丈がかなり大きくなり、つる草も随分伸びていた。
私は、やり始めると段々やる気が起こってくる。最初はまず身の回りだけ、次は手の届く範囲、目の届く範囲となって、そのうちに夢中になってしまうことが多いのである。
だからと言って、庭の手入れが上手にできているというのではない。柘植の木も頭をそろえていないし、ツツジも日光の当たり具合が悪く、綺麗に咲くというのは珍しいぐらいである。グミの木は毎年成長が早すぎて、隣の領分に入り込まないかいつも心配している。
私は、それほど紫陽花を好まない。大きな花が自己主張しすぎて、他とのバランスがよくないからか。だが、柿の下あたりにある山紫陽花がそれ程大きくない花を幾つかつけている。
年相応に毎日少しずつ草を引くというのが、なかなか身につかない。だがまあ、とりあえずは梅雨になっても、あたりまえの生活ができているということかもしれない。