筍ご飯

ここのところ一人暮らしをしている。事情を知っている友人や知り合いから、ほうれん草のお浸しやら、冷凍した手作り餃子とかをいただく。先日は旬の筍ご飯を貰った。私が一から調理するのは大変だろうという配慮がある。幸い痛い所もなく暮らせているが、この歳になると、人の情やら親切が身にしみる。

掃除や洗濯が面倒くさい。なにせ古い家なので、暫く放って置くだけで埃が積もる。あちこち手の届かない所では白くなっている。大晦日の大掃除でやっていればそれ程でないだろうに、何年も手を付けいないとこういうことになる。

連休に帰郷する組があるので、埃が出ないようにしてやりたい。私もそうだが、しょっちゅうくしゃみをしているのが気になる。

そうなると一ヶ所一ヶ所やっつけほかない。、まずはホウキでうず高く積もっている所を掃いて小さなごみ袋に入れる。それから掃除機で吸う。大体いけたところで、雑巾で水拭きするという段取りだ。が、これでもざらざらする。日を置いてもう一度掃除機で吸ってから水拭きする。私の力では、一日に一ヶ所が限度である。こんなところが家中に有るので気が遠くなる。

洗濯は少しばかり慣れてきた。洗濯機が優秀なので、水と粉せっけんの量に慣れてしまえばそれほど難しくない。郡上は雨が多い。従って、いつ洗濯するか、いつ干すかが本題だ。私は昔流なのか日に当てて乾かしたい方である。下着の数を勘案し、晴れて外で干せそうな日から逆算して決行する日が決まってくる。例え晴れるとしても、我が家の狭い庭に干すので、今頃なら午後三時位までしか日が当たらない。つまり洗濯は干すのが厄介ということだ。

三度の食事を用意するのも簡単でない。朝はトーストを焼いて、チーズやヨーグルトなど乳製品をつけあわせ、ちょっとばかり果物を足せばよいのでそれ程苦労しない。まだ仕事をやっているので昼はしっかり食べたい。かくして、ご飯を食べたくなる。おかずとして切り干し大根やら白菜など野菜を煮て常備している。私は油揚げが好きで、なかでも地元の業者がつくる厚揚げを付け合わせにする。どうしても肉を食べたいというような欲求はなくなっており、鶏肉を出汁にする程度である。

夜は帰るのが十時を過ぎることが多く、手間のかかるものはやる気にならない。簡単に出汁を薄めてうどんを煮たり、出来合いの飯をレンチンしてレトルトのカレーをかけて食べるなどである。冬場ならインスタントのラーメンが体を温めるので有難い。

私が一人住まいをしていると、いろいろ心配なことがあるらしい。近くに住んでいる娘が時おり美味しい弁当を作ってくれるし、私が好きだという事でジャムを持って来てくれる奇特な方もいる。筍ご飯が引きがねになりもろもろ書く気になった。こうなると自分が生きているというよりは、周りに生かされている感じだ。                                               髭じいさん

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