落ちつかない年ごろ

落ちつかない年ごろと言えば何歳ぐらいだったか。振り返ってみても何も出てこない。或いは今に至るまでずっとだったかも知れない。今回はちょっとしたジェネレーションギャップを感じたので書いてみようと思う。

男子は確か小学校高学年や中学校に入るころ、第二次性徴が始まり、体のあちこちが変わっていく。精巣が大きくなって生殖器が成熟し、陰毛が生え始め、声変わりへ進む。どれをとっても不安になるだろうし、一気に進む子だと心配事も一時に集中する。

中学一年生の坊がガチャガチャして中々落ちつかない。頭の中が性のことで一杯になり、なかなか勉強に集中できないらしい。自分が日々変わっていく様や他の子の成長度合いが気になってしょうがない。落ち着いて、ものごとに取り組めないのだ。あげくイライラして悪戯をし、気を紛らわせようとする。こうなるともう成長途上というより、野生の猿みたいになってしまう。

私にもそんな時期があったはずだが、もう六十年も前のことなので、はっきりと思い出せない。その頃銭湯に通っており、近所の大人連中といっしょになると、からかわれたことがあるように思う。誰にも見られないように、しっかりタオルで前を隠し、体を洗う時も細心の注意を払っていた。

私はボッチだったので、誰にも相談せず、一人で不安をやり過ごしていたと思う。間違っても、友達連中と一物を見せ合ったりはしなかった。ただし、野良に出てオシッコの飛ばし合いはしたかもしれない。

昔はおおらかだったと言っても今ほどでない気がする。田舎の子というか、今の子は仲間との信頼関係があるからか、憚りなく見せ合って笑っている。ある意味羨ましいが、私にはできなかった。

信頼できる仲間内だけで、互いの成長度合いを確かめ、情報を共有するようなことなら目くじらを立てるまでもない。逆にこれができるのが仲間ということかもしれない。

これが一歩進むと、成長の遅い子をからかったりするようになる。単なるからかいでも、毎日毎日続けば、りっぱなイジメになる。異性に対してこれを公表するようにでもなれば大ごとである。これは人を攻撃することで、自分が安心できるような構造になっている。が、攻撃される方はたまったものじゃない。なにせ感受性の鋭い年ごろだし、例え何とかやり過ごすことができたとしても、一生の深い傷を負うことになる。

体の成長は自然のなりゆきに任せる他ないとしても、性徴変化の激しい時はいつの世もなかなか難しい。信頼できる仲間を作り、スポ-ツや勉強に集中してもらいたいものだ。                                               髭じいさん

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