おはよう

私は若い頃からいたって早起きが苦手で、よほどのことがない限り、朝はゆっくり寝ることにしている。サラリーマンをしていた頃でも、寝るのを早くして、なるべく睡眠時間をとるようにしてきた。再度田舎へ引っ越してからは、仕事の関係もあって夜遅くまで起きているので、特に朝が遅い。
だからというわけでもないが、朝からお客さんが来る時でも、失礼ながらパジャマを着たままのことが多い。最近では外に出ることが少ないので、どうかすると昼食後でもパジャマ姿でいることがある。したがって昼前には、私にとって「お早うございます」と挨拶することが自然になる。
ところがある時ある子から、「お早う」は朝十時半までで、それからは「こんにちは」になると聞いた。そうだったのか。そうとは知らなかった。確かに多くの若者は毎朝、仕事場や学校へ行く。しっかりした時間割で活動を始め、十時半にもなれば、相当内容の濃い仕事や勉強をしているだろう。
相手がそういう常識で生活しているのであれば、私の挨拶を不審に思う人が多いことになる。私の意識がずれていることを思い知ったのである。
様々な生活様式があるとしても、日が暮れてからなら、「今晩は」で異論が少なかろう。だが、夜の仕事をする人や仕事時間が不規則な人であれば顔を合わすとまず「お早うございます」の挨拶をするだろうから、これすら絶対ではない。
「お早う」と「こんにちは」の使い分けについては、個人の事情のほか、住んでいる場所にも関連するだろう。田舎では、朝早く涼しい内に一仕事やってしまう人が多い。こういう人たちは、確かに十時半にはすでに朝のおやつも済ませていることになるから、「こんにちは」が自然かもしれない。
田舎に住んでいながら、また世間と生活時間がずれてしまった。さてどうするか。私の体内時計では、昼飯を食べ終わるまで、どうしても「おはよう」である。これは恐らく変えようがない。俄かに十時半をめどにして「こんにちは」にすることも作為が感じられるから、今後はもう少し周りの状況をみて<flexible>に対応したい。