第三の人生

 日本では定年退職した後の生活を、老後とか、余生とか云って、なんだか付け足しのような扱いをしているような感じがする。平均寿命が、男性77.1歳、女性83.9歳(平成11年度)となった今、定年後の残り20年程の人生を、老後とか、余生とか云って片付けるには少々長すぎる感がある。厚生労働省による、平均寿命の統計によると、明治から大正にかけて、男性が42歳前後、女性が44歳前後となっている。それが、昭和30年代で男性64歳、女性68歳となり、その後ぐんぐん寿命を伸ばし、今や、上記の値となった訳である。そろそろ人生観を改める必要があるのではないだろうか。最近、ある生涯学習に関する講演で、欧米では、人生について、3つに区分しているという話を聞いた。第一の人生は学校時代、第二の人生は仕事をしている時代、そして第三の人生は自己実現の時代であると言うものである。欧米びいきをしたいわけではないが、引退したら抜け殻のようになってしまう阜サよりはマシな感覚だと思うのである。▲人の欲求には5段階あるという見方がある。第一段階は安全の欲求、第二は食の欲求、第三は子孫を残す欲求、第四は他人に(世に)認められたい欲求、第五は自己実現の欲求であるというものである。自己実現という言葉はなんだか難しいが、要は「こんな人間になりたかった」「こんな人生をやりたかった」といったような意味である。「第三の人生」を自己実現にむけた人生とする見方はとても大切な意味を持っていると思うのである。

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第三の人生-実践編