釣り。しかし東京暑すぎ!

 日曜日、今日は息子にとって初めての「釣り」です。脚本家O女史とそのお子さんGクンと、どこかに釣りに行ってついでにバーベキューでもしてお手軽なアウトドアの一日を過ごそう、なんてコトを相談していました。子供達は初めての釣り体験におおいに期待がふくらんでいたようで、ずいぶんと前から子供用釣りセットなどを購入し、準備万端の様子でした。ところが天気予報によれば日曜日のお天気はあまり芳しくありません。息子は気が気でないようで、土曜の晩には急遽ティッシュでてるてる坊主などをこしらえておりました。てるてる坊主の顔がすこし怒っていて目下の彼の心理状態を表しているようで可笑しかったです。
 すこし怒ったてるてる坊主の効果でしょうか、日曜日は素晴らしい天気に恵まれました。お昼の準備などを済ませて10時に待ち合わせていたOさんとGクンを拾うとともかく多摩川に向かいました。興奮気味の子供達は「ねえねえ、次はいつ行く?」などと早くも次回の予定などを話し合っています。「とりあえず、目先の、今日のことだけを考えようよ。」と、キリギリスのようなことを僕は言います。
 ずいぶん昔、酔っぱらって遊び半分で釣りをしたとき、簡単にクチボソやオイカワなどがかかったことがあったので僕はかなり楽観していました。「子供達がだめでも、俺がやればほいほい釣れて『すげー!さすがはお父さん』みたいなことになるであろう。」と密かに野望もいだいていました。多摩川に到着するとすでにすごい人出でした。すこし上流側の人の少ない河原に場所をとりました。着火材を使って手早く炭を起こすと早速仕掛けを作ります。
 僕は釣りに関しては素人も同然ですが、このメンバーだとまがりなりにも経験者なので、とりあえず針をつけたりおもりを付けたり糸を結んだりします。僕はこういう細かい作業がとても苦手です。指に針を刺したり糸をもつれさせたりして、全てを投げ出したくなり気持ちを抑えてやっと二つの竿の準備が出来ました。子供達にとりあえずのお手本を見せると「じゃあ、思う存分釣りなさいね。」と言い、ともかく大人は河原ビールで乾杯。「んまい!」一瞬の極楽!。しかし、てるてる坊主が効き過ぎたのか、この日はとても暑くなりました。日陰の無い炎天下に場所をとったため日差しから避難することもままなりません。魚もこれでは日差しを避けるために深みに潜ってしまっているに違いありません。子供達を見るといっこうに釣れる気配はありません。「お父さんに貸してごらん。」と言って遠くの深いところを狙って投げてみました。なかなかいいかんじです。しかし、何度やってもアタリすらありません。
 穏やかな水面に揺れる浮きを眺めているとだんだんぼんやりしてきます。アルファ波が出ているような状態になり、何も考えていない自分に気づきびっくりしたりします。こういうのはとても気持ちのいいものです。なんだか久しぶりに味わいました。
 お腹も空いてきたのでいったん釣りは中断して、良い加減になった炭でバーベキューをしました。外で食べるお肉やキノコは最高です。Gクンは初めてらしく「なんでお外でゴハンたべるの?」などと不思議がっていましたが、美味しそうにぱくぱくとたくさん食べていました。
 午後の部に突入しました。もう少し深いところを狙おうと、糸を長くして重りを足したりしました。しかし、どうにもこうにも何の反応もありません。ボウズの気配が濃厚になってきました。そして「アルファ波的ぼんやり」がいつしか太陽にあぶられての「日射病的ぼんやり」に変わって来ました。子供達も汗をかいて赤い顔をしています。そろそろ引き時かもしれません。「勇気ある撤退」というような言葉も浮かびます。「そろそろおうちにかえって、涼しいところであそぼうか。」と提案するとみんな賛成でした。
 なんというか、釣り的には完敗の一日ではありましたが、子供達にはとてもたのしかったようです。帰りの車中でしきりに「りべんじ」などと言っていました。
 この日、東京の気温は32度まで上がったそうです。まだ夏仕様になっていない体にはやはりすこし無理のある天候でした。それにしても五月からこんな様子でこの先7月や8月にはいったいどんな夏が待ちかまえているのでしょうか。すこし身構えるような気分になって改めて冷たいビールをごくごくと飲みました。

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