遊び

以前何かで、心に隙間を作ることが遊びであると書いたことがある。意識していようと無意識であろうと、忙しい生活をしている人なら、ふと自分を振り返るときがある。脳が必要以上に活発に活動している人なら、神経が病まないように何らかの息抜きをする必要があるだろう。
私の場合は、そのいずれにも当てはまらない。忙しい生活をしていないし、脳の働きは必要にも満たない。食うことには真剣ではあっても、それに全てをかけることもできなかったし、自分が楽しいと思うことだけをやり抜いてきたわけでもない。まあ率直なところ、今まで中途半端な人生であったと思う。
知識を多く持ち、博学なこと自身に意味があるわけではない。この点、私にとってはほぼ金と同じである。良い仕事をしている人は、むしろ「狭い」分野に身を置いて的確な知識を持つことが多い。仕事の進み具合は、人の意志によってのみ決まるものではない。一日にできることは、一日分である。
修学旅行で、夜遅くまで騒いだ経験を持つ人はいないだろうか。私はその口で、枕を投げたりしていた。当然翌日は眠くて、大切な所を集中して見ることが出来なかった。次の日も楽しく過すには、早く寝る方がよいことを分かっていなかったのである。
酒は、飲める人全てに、一生分の量が決まっているという説を聞いたことがある。俗説だろうが、幾ばくかの真理があるように思う。若い時に飲みすぎた私は、だから、今さほど飲めないのかもしれない。
どうも私の人生は、これらから余り進歩していない気がする。下手な欲張り方をしてきたということだろう。
心の中は隙間だらけであるし、脳が活発に働いているわけでもないから、私にとっては、心の隙間を少し埋めて、むしろ勤勉であることが遊びになるかもしれない。