そうめん

今年初めて、そうめんを食べた。昨日のことである。昼間はそろそろ郡上でも暑くなってきたので、喉越しの良いそうめんがなかなか美味かった。茹でた後、しっかり水で洗うのが大事らしい。
そうめん、冷麦、うどんの違いは素材ではなく、その太さによると言う。ここに引っ越したばかりの時は、なぜか冷麦が多いなあという印象をもっていた。私は関西出身で、「三輪そうめん」はともかく、「揖保の糸」や淡路のそうめんなどが珍しくなかったから、当たり前のものとしてそうめんを受け入れていたからだろう。ここではどうやら基礎に冷麦文化があるように思う。
最近は市販の出汁を薄めて使うことが多く、それはそれでうまいから文句はないが、葱や生姜で味を加減することにしている。子供の頃は、柴エビなどの小エビや椎茸のダシで食べていたことを思い出す。その時には、小エビが「しかしか」して、さほど好きだったわけではない。
夏のさなか、昼夜を問わず水で冷やして食べていた記憶がある。小エビや乾燥椎茸のダシは最後まで結構味が残るが、それでも露が水っぽくなってしまう。薄くなったものでも捨てるに忍びず、残ったものを飲んでいたような気がする。
若い頃は食べるものが少なかったからか、そうめんだけで腹いっぱいになるほど食べた。年を重ねるに従って食べる量が段々少なくなり、今は二束で足りる。
郡上に越してからは、さっぱりした「そうめん」に天ぷらなどを添えて食べていた。今では、野菜などをあっさり煮たもので充分である。
そうめんは現在「素麺」という字をあてている。「素麺」は、「索麺」から更に「索餅」に遡れる。『釋名』釋飲食に「索餅」があり、製法が面白いので触れようと思っていたが、どうしても漢字が多くなりそうだ。暑苦しくなりそうなので、今回はやめておく。
柴エビの値段が高いと諦めるしかないとしても、今年は、小エビのダシで何回か食べてみたいと思っている。