ミヤマヨメナ

昨日川辺を歩いていると、径の両側に白い花が群生していた。清楚で可憐という言葉にふさわしい花だった。野菊の系統だとは思ったが、名前が思い浮かばない。去年までも咲いていただろうに、迂闊にも、私の目に留まらなかったことになる。
最初に「野路菊」の名が思い浮かんだ。私は明石というところで育ったので、県花である野路菊をまず思いついたのかもしれない。だが、今は五月だから、どうやら違う。
何だかすっきりしないのでネットで「野菊」を調べてみると、ずいぶん種類が多い。諦めかけたが、よく見ると、花の形がなんだかヨメナに似ている。
ただ、ヨメナは秋の花で、五月に咲くとは思えない。初夏に咲くものを更に調べてみると、どうやらミヤマヨメナにあたるらしい。
ミヤマヨメナは野菊に似ているが、一般に、別に扱われるという。葉と花はミヤマヨメナとみなしてよさそうなものの、花の色が「紫の強い白」という点にまだ不安が残っている。
翌日、川辺へもう一度確かめに行き、その姿形を頭にたたきこんできた。確かに花の色は真っ白である。花の形と色から、ジオンと違うことは分かる。
帰る途中、近所の花壇を何気なく見ていると、よく似た花があちこちにあった。花はやや小ぶりだが、葉が立派で、たくさん花がついている。濃い紫の花もあったし、やや薄い紫色もあった。ミヤコワスレに間違いあるまい。
もう一度検索してみると、ミヤマヨメナの園芸種がミヤコワスレという。咲く時期が同じだから、川辺で見たものがミヤマヨメナであるような気がしてきた。ミヤマヨメナ属のひとつで、真っ白い花をつける種類があるのかもしれない。
こういった話は、先達に聞くのが早くて一番確かである。だが、ご近所の誰とも出会わなかったので、今日のところはこれを書くだけで留めておく。焦らずに、じっくり楽しみたい。
貫之風に、詠んでみた。恥ずかしいという言葉を書くことすら恥ずかしい駄作である。
深山住み 都忘れて よめな草 楽しくもあり 空しくもあり