猫との一週間

名古屋にいる娘が孫と猫を連れて帰郷した。
私は猫アレルギーである。どうやら鳥もだめだ。近くにいるだけで目が痒くなり、透明な鼻水が出てきて、くしゃみする。従って、子供が成長する間にペットを飼うということはなかった。
確か彼女もアレルギーのはずなのに、猫を飼っているという。捨て猫を飼っていた人が帰国するというので託されたらしい。子猫である。最初は他に飼ってくれる人を探す間だけ世話するつもりだったようだ。
彼女のアレルギーについて言えば、猫をきれいにしておけば、症状が出ないという。しばらく飼ってみると、情が湧いて、手放せなくなったのだろう。
しかし帰郷となると、私がアレルギーなのを知っているので、はじめは相当躊躇したらしい。
猫を名古屋に残しておくわけにもいかず、よくよく考えて、アレルギーの原因になる汚れや匂いをきれいに落として連れて帰ることになった。幸い下の方は躾がきちんとできており、失敗することはないという。猫を清潔にしておけば、私の症状も出ないという気がしたのだろう。
帰る間際に子猫を風呂に入れ、埃や汚れをすっかり洗ってきたらしい。猫は水を掛けられるのを嫌うそうで、洗われるときに相当抵抗したという。どちらにも気の毒なことだった。
我が家でも糞と尿が心配だったが、なかなか利口な猫で、失敗しなかった。しかし二三日すると、どうしても獣くさくなる。濡れた清潔綿などで体中を拭いてもらえば、何とか耐えられる。というようなわけで、気になる程は臭いもしなかったし、痒くもならなかった。
何気なしに観察すると、孫とも結構うまく付き合っている。まるで兄妹のようにじゃれているように見えた。ところが私は、ペットを飼った経験がないからか、どうしてもぎこちない。私が警戒しているので、彼女も警戒している風だった。帰る間際になると、それなりに情が湧いてきて、少しは遊べるようになったのが不思議と言えば不思議な気がした。

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