キャベツの煮物

あれ、白菜の煮物じゃないのと思う人が多いかもしれない。だいぶ寒くなって、温かいおでんや鍋料理が恋しい季節になってきた。
我が家では、キャベツの煮物を食べる。キャベツを煮るとなれば、ロールキャベツやスープを思い浮かべるのではなかろうか。だが、これはそう言った洋風のものではなく、れっきとした煮物なのである。
この時期は白菜の旬であり、鍋料理にしろ、煮物にしろ、白菜を煮る人が多いだろう。私も醤油味で煮たものが好きで、鍋を含め、いろいろ組み合わせて楽しむ。本日、百姓をしている友人が一玉くれた。何でも、この地区では白菜のできが今一で、平年作なら上出来らしい。薄い緑がうまそうだ。
まてまて、今週のテーマはキャベツである。分かりやすくするために、今日我が家で食べたものを紹介しよう。
一緒に煮てあるのは、豚肉、高野豆腐、さつま揚げ、ジャガイモである。煮るのに込み入った手順はない。書きながら気づいたが、高野豆腐を入れるのは関西風かもしれない。これらを合わせて醤油で煮るだけで、途中気になれば灰汁を取るぐらいである。ただ白菜ほど水が出ないので、水を少し足すようだ。キャベツの質感が残ったものもよいし、箸でつかめないほどくたくたになったのもまた悪くない。ジャガイモは味の含みがやや遅いので、温めなおしたものが旨いように思う。
我が家ではもともとこれに先立って、白菜、豚肉、高野豆腐などを醤油味で煮ていたと記憶している。さつま揚げやジャガイモは入っていなかった。今でも、白菜を使って同じように煮て食べるから間違いない。
だからと言って、白菜が手に入らないからキャベツに変えたというわけではない。私が淡いキャベツのスープが好きで、白菜に変えてキャベツにしてみたらどうか提案したような気もする。
皆さん、味の見当がつくでしょうか。醤油味なので和風というのは間違いないとしても、キャベツなので純和風にはならない。どちらかと言えば和洋折衷になりそうなのに、我が家では全く違和感がない。この料理を三十年近くやっているので、子供たちも故郷の味にしている。仲間にも勧めてみたが、どうやら採用されなかったようだ。或いは、やってはみたが、白菜には及ばないということかもしれない。彼らには、違和感があったのだろう。
こんなことをじっくり考えてみたところで何も出てこないが、私には食べ物について割合こだわりがなく、試行錯誤してきたという例にはなるかもしれない。ただ、キャベツに留まってレタスまでいかないのが我が家流とも言えるし、私らしく中途半端とも言えそうである。