振り子

郡上では徹夜踊りも終わり、朝晩過ごしやすくなってきた。まだ窓を開けて寝ているが、昼間火照った部屋に冷たい空気を入れるという具合で、暑くて寝苦しいということはない。
私が使っている部屋は北向きで、けっこう西日がきつい。真夏になると、夜中に部屋へ入っても、こもった熱気がもわっと纏わりついてくる。このままでは気分良く寝るというわけにはいかない。
が、吉田川から分流した島谷用水が裏を流れている。冷たい水がながれており、今晩は寝苦しいかなと思っても、この上を通った風は気持ちよい。暑い盛りでもまったく扇風機を使うことなく、今年もまた、団扇だけで乗り越えることができた。
ここ数日は朝晩窓から冷気が入ってくる。朝方にはしっかり夏蒲団を被っており、布団のぬくもりが心地よくなってきた。
こうなれば暑苦しいだの蒸し暑いだのというのも昼に限るので、芯まで疲れるということはない。
お盆前に娘夫婦が帰郷していた。彼らの使う部屋は二階で南向きになっており、確かに暑苦しいだろう。やむを得ず、そこだけはクーラーを設置してある。そればかりか一階の居間についても、耐えられないほど暑苦しいと言う。彼らにとってクーラーは必需品のようで、取り付け場所についてあれこれ検討していたようだ。私はどうも乗り気にはなれなかった。
彼らが帰ったすぐ後から朝晩涼しい日が続いた。こうなると今年もクーラーの話が立ち消えになりそうである。
ただ気になることが一つある。今まで乗り切れたからと言ってこれからも大丈夫という自信がもう出てこない。強気一辺倒でクーラーは要らないというわけにはいかなくなっている。今後も暑さに耐えられるかどうか。家の中にいても熱中症にかかる例があるらしい。子供たちが心配する点もこの辺りだろう。
昨年も同じような状況だったのか、やはりこの時期に家電量販店を訪ねたことを思いだす。その時の説明では、十月の初旬あたりだったかが、型落ちのセールをやるのでお買い得のようなことを言っていた。冬場に近くなると、暖房にも使われるので、新製品が出てくるそうだ。
自分のことだけを考えているわけにもいかない。私にとって決して安い買い物ではないが、子供孝行を考える年になってしまった。若い時からの生き方に区切りをつけるのは容易でない。が、すっかり状況が変わってしまった。そろそろ年貢の納め時かな。暖房も含め、空調を整えるほかなさそうだ。。。ふと考えた。柄にもないことをして、この歳で本当にクーラーを使って健康を保てるか。

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